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遺産分割協議がまとまらない場合の相続税の申告

Q 先日、父が亡くなり相続が発生しました。相続人は長男である私と母と二男の3人です。父は金融資産の他に複数の不動産を所有していたのですが、遺言を残しておりませんでした。以前から兄弟間の折り合いが悪かったこともあり、遺産分割協議が難航しています。もし、今後遺産分割協議がまとまらないまま相続税の申告期限が到来してしまった場合、何か注意することはありますでしょうか。

A 相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらなかったとしても、相続税の申告をせずに申告期限を過ぎた場合、無申告加算税や延滞税が発生します。そのため、申告期限内の相続税の申告・納付は必要となります。その場合、相続人が民法の規定による法定相続分で遺産を分割したと仮定して税額計算を行い申告・納付します。この申告のことを未分割申告といいます。
未分割申告の場合、その後に遺産分割が確定したときに、実際の遺産分割割合で申告をやり直します。(税額が増額となる場合の手続きは修正申告、税額が減少する場合は更正の請求といいます。)ここで、未分割申告の場合、次の特例などは使えないため注意が必要です。

  • 配偶者の税額の軽減
  • 小規模宅地の特例 など

なお、たとえ未分割申告となった場合でも申告書提出時に『申告期限後3年以内の分割見込書』を添付することで、一定期間内であれば遺産分割確定後の修正申告または更正の請求において上記2つの特例について適用を受けることが可能となります。

また、被相続人の方に不動産所得があった場合にも注意が必要です。未分割申告の場合、相続財産は相続人全員が法定相続分で共有したことになります。そのため、不動産所得については法定相続分で按分計算を行い、相続人それぞれが確定申告する必要が生じます。

一部の財産のみが未分割の場合の注意点などもございます。ご不明な点等ございましたら、OAG税理士法人までお問い合わせください。

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