車を買ってあげたら贈与税が発生?かしこい車の渡し方とは!
- 贈与税
えっ!? 親に車を買ってもらうと、贈与税が掛かるんですか!?
地域にもよりますが、車は私たちの生活の必需品ですよね。中古車をふくめると手軽に購入する事ができる比較的安価な車から、なかなか手が出しづらい高級車まで幅広い価格帯の車があります。
では、車を買ってあげる時やもらう時など、どの価格の車でも一律の考え方でよいのでしょうか?
どのようなことに気をつければよいのでしょうか?
また、車をあげたりもらったりした時に税金がかかるとしたら、誰にいくら掛かるのでしょうか?
ポイントをおさえてかしこく対応をすることで、同じ車を買ってもらうにも税金が変わります。また、車は購入する金額によって現金をもらうのと同じように贈与税の納付が必要ですが、親が利用していた車をゆずり受けるような場合は、中古車の市場価格買い取り価格に沿ったものになります。
ただ、家族内で物をもらっただけで税金が掛かるなんて、どうも納得いかないですよね。
正しくは、家族であっても一定の財産価値以上のものをもらうと、「相続や贈与」に該当しますので税金がかかります。ただ、もらった財産が一定の価格を超えない場合は、贈与税が掛かりません。贈与税の基本的な決まり事を知り、かしこい考え方で支払う税金を最小限に抑えましょう。
目次
1.車の贈与(あげる時/もらう時)に税金はかかる?
<結論>
年内に誰かからもらった財産が他にないと仮定した場合
車の価格(評価額)が、110万円を超える時は、贈与税が掛かります。
車の価格(評価額)が、110万円以下の時は、贈与税が掛かりません。
2.贈与税はいくらの車から?贈与税がかかる時、かからない時の判断基準
贈与税は、人から財産(お金、家、土地、車など)を110万円を超えて贈与された時に必要な税金です。贈与税の対象となる金額の計算は、もらう人が1年間(対象とするその年の1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産額の合計となりなます。つまり、先ほどの説明のとおり車以外何ももらっていない状態で、110万円以下の車をもらったのであれば非課税となり贈与税はかかりません。
図1:車を贈与された時、贈与税の対象かどうかの判断方法
2-1.贈与税の対象となるか計算してみる
計算する場合には、次の手順でおこないます。
(1)受け取った贈与の合計金額を計算する。
(2)贈与の合計金額から、基礎控除額の110万円を引き算する。
(3)計算結果(基礎控除後)の金額で、贈与税がいくら掛かるのかを計算する。
以上から、基礎控除後の価格が0円以下なら、贈与税は掛かりません。
例1)100万円の車をもらった(贈与を受けた)
100万円(車)―110万円(基礎控除額)=0(-10)
→贈与税は掛からない。
例2)300万円の車をもらった(贈与を受けた)。
300万円(車)―110万円(基礎控除額)=190万円
→190万円に対して贈与税。
例3)100万円の車をもらい、現金を50万円もらった(贈与を受けた)。
150万円(車と現金)―110万円(基礎控除額)=40万円
→40万円に対して贈与税。
2-2.具体的な贈与税の計算方法
では、基礎控除の110万円を超える贈与を受けた場合、具体的にいくらの贈与税が掛かるのでしょうか。
贈与税の計算には税率を示した表が準備されており、その表を活用して納税額を計算していきます。
2-2-1.贈与税の税率表から税率と控除額を知ろう
贈与税の税率や控除額は、国税庁のホームページに掲載されています。
贈与税には2つの表があり、贈与額と誰から誰に贈与したかの状況に応じて使い分けをします。
(1)一般贈与財産用・・・特別贈与に該当しない贈与
(2)特別贈与財産用・・・主に祖父母や父母からその年の1月1日に18歳以上の子・孫への贈与
(令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」)
この表の控除額とは、税率を利用して計算した結果から差し引くことができる額です。
表1:贈与税の税率表
2-2-2.贈与税の額を計算してみる
「410万円の車のみの贈与を受けた」場合の贈与税額を計算してみましょう。
ここでは上記の「一般贈与財産用」を利用して試算します。贈与税額は300万円のため、表の左から2番目の400万円以下の欄を活用します。
(1)410万円―110万円(基礎控除額)=300万円・・・贈与税が掛かる金額。
(2)300万円×15%(贈与税率)=45万円・・・税率から計算した額
(3)45万円―10万円(300万円以下の控除額)=35万円・・・贈与税額
以上から、この場合の贈与税額は35万円となります。
贈与する財産が「車」や「家」の場合など、お金ではない場合にはその価値で計算をします。
3.車の価値はどのように決まるの?
車をあげたいと思うが、車の価値は一体いくらなのだろうか・・・
車をあげるにしても、新車を購入する、中古車を購入する、現在所有している車をあげるなど、現状の車の状態に応じても価値の考え方が異なってきます。
3-1.新車・中古車を購入する場合の価値の考え方
シンプルな考え方ができるのは、新車でも中古車でも「購入」する場合です。
購入時に支払った金額がそのまま贈与税の額となります。
3-2.所有している車をあげる場合の価値の考え方
所有している車の価値は「買い取り価格」となります。
この場合は、まずは車の買い取りをしてくれるお店に行き、持っている車がいくらで買い取り可能であるか「査定」を行ってもらうことで、おおよその車の価値が分かります。近年は、インターネット上に一括で査定依頼することもできますので、複数社に見積もってもらい、一番安い価格を参考にして贈与しましょう。査定結果は、書類で残すことをお勧めします。
4.かしこい車の渡し方とは?贈与税を最小限に抑える3つのヒント
贈与税がいくら掛かるのかの計算方法を紹介してきましたが、車を贈与する場合に贈与税が掛からない方法はないの?と思われる方もいるかと思います。贈与税がかからないパターンや、贈与税を減らすヒントを紹介します。状況に応じて活用しましょう。
4-1.贈与者が車を購入し、名義変更をせずそのまま貸す
これは世間一般的に一番多いケースかと思います。
例えば父親(贈与者)が自分名義で車を購入して、子(贈与する予定だった相手)に車を貸して自由に使用させることです。父親名義のままのため所有者も父親であることから、贈与にあたらず贈与税が掛からないようにすることができます。新車を父親名義で購入して父親がローンを支払い、子供が使用することも可能です。
4-2.一定期間利用して、中古車としてゆずる
例えば父親名義で購入し、しばらく父親が利用するまたは、子に貸し出します。一定期間がすぎると、いわゆる「新古車」として扱われるようになります。「新古車」や「中古車」となると、買い金額で評価するため車の価値がぐっと下がります。結果として、贈与税を最小限におさえたり、場合により査定した価格が110万円以下となれば贈与税は掛からないことになります。
4-3.シンプルに110万円の現金をあげて、購入額の一部をサポートする
車を購入する方に贈与税の非課税枠である110万円を贈与し、購入資金の一部をサポートします。このサポートを数字で考えてみると、次のような購入資金の援助となります。
200万円の新車を購入する場合 ⇒ 55% の購入資金援助
300万円の新車を購入する場合 ⇒ 36% の購入資金援助
400万円の新車を購入する場合 ⇒ 27.5% の購入資金援助
シンプルですが贈与税がかからずに、車を購入する方に喜ばれます。
※暦年贈与の活用については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
4-3-1.贈与税の非課税枠の注意点
贈与税の非課税枠は毎年(1月1日~12月31日)110万円まであるため、例えば400万円の車を購入してローンを組んだ息子に、毎年100万円ずつ4年に渡って贈与すれば良いのでは?と考えがちです。しかし、この場合は非課税の対象とならない場合があります。贈与は、毎年同じ時期に同じ額を贈与するなど規則的な贈与をおこなうと、最初から贈与する額が決まっていたものを単純に分割したとみなされる場合がありますので、毎年援助したい額を援助したい時期に贈与するようにしましょう。
5.最後に:車を贈与する時の税金は、車の価格次第!!
今回は「車」という財産をあげる・もらう場合について「贈与税」がどうなるのか。について紹介してきました。
結論としては、110万円を超える価格の車を贈与する時には、贈与税が発生します。考える際のキーワードは「110万円を超えるか超えないか」になります。この贈与税の非課税枠を超える財産の贈与については「贈与税」が発生するしくみとなっています。
今回ご紹介したパターンのどれを選ぶかによって、支払う贈与税の金額が大きく代わってきます。
1,000万円の車に対する贈与税は231万円となりますが、贈与税を払ってでも、車をプレゼントしたいという事情もあるかもしれません。ご紹介したパターンをご参照いただき、最適な方法で贈与をされる事をお勧めします。
車に関するお金については、購入後に毎年支払いが発生する「自動車税」や、自動車保険の加入、そして維持管理費も地域によってはとても高いものとなりますので、車のご購入前に総合的に確認してみるのもよいかもしれません。
※贈与に関わる内容で悩んだ場合には、こちらを参考にしてください。(当サイト内)