《令和6年以降の相続時精算課税の選択》
Q 令和6年以降の贈与について相続時精算課税制度の適用を受ける場合は、基礎控除として
110万円を控除できると聞きました。令和6年中に祖母から100万円、祖父から300万円の
贈与を受け、相続時精算課税制度の適用を受ける予定ですが、この場合の申告等の手続き
について教えてください。
A 相続時精算課税制度で新しく創設された基礎控除110万円は、同じ年に複数の人から贈与
を受けた場合に按分計算が必要となります。今回のケースで按分計算すると、祖母、祖父
の贈与のどちらも贈与額が基礎控除額を超えるため、相続時精算課税選択届出書と併せて
贈与税の申告書の提出が必要となります。
相続時精算課税の具体的な改正内容は過去の記事をご参照ください。
https://www.oag-tax.co.jp/souzokuzei/faq/20230120/
基礎控除額の按分計算式は下記の通りです。
110万円×各贈与者からの贈与額/各贈与者からの贈与額の合計額
今回のケースでの贈与者ごとの基礎控除額、贈与税の課税価格は下記の通りです。
基礎控除額(祖母) :27.5万円(110万円×100万円/(100万円+300万円))
贈与税の課税価格(祖母):72.5万円(贈与額100万円-基礎控除27.5万円)
基礎控除額(祖父) :82.5万円(110万円×300万円/(100万円+300万円))
贈与税の課税価格(祖父):217.5万円(贈与額300万円-基礎控除82.5万円)
祖母、祖父ともに贈与額が基礎控除額を超え、贈与税の課税価格が発生するため、相続
時精算課税選択届出書と併せて、贈与税の申告書の提出が必要となります。相続時精算課
税制度は贈与者ごとに特別控除額の枠が2500万円あるため、今回は納税が0円となりま
す。
祖母、祖父の相続時には、贈与税の課税価格(贈与額-基礎控除額)が相続財産に加算され
ます。(祖母の相続財産に72.5万円、祖父の相続財産に217.5万円を加算)
ちなみに、令和6年中に祖母から100万円のみ受け取った場合は、基礎控除額の按分計算
は不要となります。結果として贈与額が基礎控除額110万円を下回るため、贈与税の申告書
の提出は不要となりますが、相続時精算課税選択届出書の提出は必要です。
祖母の相続時は、贈与額が基礎控除額110万円を下回るため、相続財産に加算される額は
ありません。
※贈与税の申告でご不明点等ございましたら、OAG税理士法人までお問い合わせください。