《亡父の受取配当金の取扱い》
Q 父が令和3年3月29日に亡くなりました。そろそろ預貯金や証券口座の手続きを始めよう
と思っています。
父は上場株式を持っていましたので、3月末決算の会社の配当金が6月末ころに入金にな
りました。3月31日の2営業日前まで存命でしたので、この配当金は父の所得と考えて差
し支えないでしょうか?
また、亡くなったあとに入金になったものは相続税の対象になるので、「配当期待権」
として相続税の計算に含めなければならないと思いますが、いかがでしょうか?
- A ご質問の配当金は、お父様の所得ではなく、それを引き継がれるご相続人の所得となり
- ます。また、お父様の相続財産に含める必要はありませんので、ご注意ください。
ご存知のように、上場株式の配当金を受け取るためには、権利確定日の2営業日前まで
に購入し保有していなければなりません。しかし、この①配当金を受け取る権利がある日
と、②所得税における収益計上時期、また③相続税における配当期待権の認識日は同じで
はありません。
【例】令和3年3月31日を決算日とする会社の配当金
- ①配当金を受け取る権利がある最も遅い日・・・令和3年3月29日
- ②所得税における収益計上時期
・・・配当の効力を生ずる日
→ 通常令和3年6月下旬の株主総会決議日
- ③相続税における配当期待権の認識日
・・・配当金交付の基準日の翌日からその交付の効力が発生する日まで
→ 令和3年4月1日以降に亡くなられた方が受取る予定であった配当金
これらのことから、3月末決算法人から受け取られた配当金は、お父様の所得税、相続
税の計算には算入されず、ご相続人の所得と認識することになります。
※ほかにも何かお分かりにならないことがありましたら、OAG税理士法人へぜひお問合せ
ください。