• ケーススタディ
  • 相続税

《配偶者の税額の軽減》

Q.夫が亡くなり財産を相続しましたが、配偶者は相続税がかからないと聞きました。もし財産をすべて私が受け取って相続税がかからない場合には、相続税について何も手続きをしなくてもよいのでしょうか?

 

A. 

「配偶者の相続税の軽減」という特例があるため、配偶者に相続税がかからない可能性があります。ただし、相続税がかからない場合でもこの特例を受ける場合には申告が必要です。

 

【制度の概要】

配偶者の税額の軽減とは、お亡くなりなった方の配偶者が遺産分割や遺言によって譲り受けた遺産額について、次のいずれか高い金額までは、配偶者に相続税がかからないという特例です。

・     1億6,000万円

・     配偶者の法定相続分相当額(例えば相続人が配偶者と子供の場合は1/2)

 

【適用要件】

配偶者の税額の軽減を受けるためには、相続税の申告書に税額軽減の明細を記載し、戸籍謄本等と配偶者の取得した財産がわかる書類(遺言書の写しまたは遺産分割書の写しと印鑑証明書など)を添付して提出しなければなりません。なお、特例を受ける方は戸籍上の配偶者である必要があります。したがって、いわゆる内縁の妻などはこの特例を受けることができません。

また、相続税の申告期限までに遺産分割ができていない財産については、この特例を受けることができません。(遺産分割協議がまとまらない場合については2021年4月5日の記事をご参照ください。)

【注意事項】

今回の相続(一次相続)でなるべく配偶者が相続することにより相続税が少なくなっても、次回の配偶者自身の相続(二次相続)ではこの特例を受けることはできず、また相続人の数が減ることにより基礎控除や生命保険金などの非課税枠が少なくなり、相続税が多くなることもあります。そのため、配偶者固有の財産がどのくらいあるか、二次相続で小規模宅地の特例(2019年9月20日の記事参照)を受けることができるかどうかについても確認が必要です。

一次相続だけでなく二次相続も含めて対策を行うことをおすすめします。

シミュレーションが必要な場合やご不明点がございましたら、お気軽にOAG税理士法人へお問合せください。

関連する質問