世帯主が死亡したらどうするの?すぐに行う手続き完全ガイド
- 相続手続き
旦那さまが亡くなられて悲しみに暮れる中、相続の手続きを進めなければならない・・・でも、何からすればよいのか?どうすればよいのか、まったく分からない。
世帯主である旦那さまが亡くなられた場合は、これからの生活の不安も重なっていることと思います。
世帯主が亡くなられたときの手続きは、期限の早いものからひとつひとつ進めていくことが大切です。
本記事では、市区町村役場でおこなう手続き、年金や健康保険の手続き、亡くなられた世帯主が個人的に契約していたものの手続きについて、分かりやすく解説いたします。
目次
1.世帯主が亡くなられたときに必要な手続き
世帯主が亡くなられたときは、葬儀の手配、相続手続き、遺産分割の話し合いなど、多くのことを並行して行わなくてはなりません。本記事では、市区町村役場や年金事務所等に対する届け出や各種契約の解約、名義変更の手続きについて詳しくご説明していきます。
死亡届の提出や年金・健康保険の手続きは、期限があります。まずは手続きの流れを確認しましょう。
図1:世帯主が亡くなられたときの手続きの流れ
※葬儀の手続きについて詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
※相続の手続きについて詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
2.亡くなられた直後におこなうべき公的手続き
世帯主が亡くなられた直後(葬儀前)におこなわなくてはならない手続きを確認しましょう。葬儀の際には「火葬許可証」が必要です。まずは医師(病院)から死亡診断書を受け取り、死亡届と同時に火葬許可の申請をします。葬儀社に代行してもらえる場合はお任せしてよいでしょう。
表1:公的手続き
2-1.死亡届・火葬許可証申請書
亡くなられてから7日以内に「死亡届」と「火葬許可申請書」を市区町村役場に提出します。死亡届と死亡診断書は合わせて1枚の用紙になっています。死亡診断書の記載がないと死亡届は受理されませんので、必ず医師に死亡診断書を作成してもらいましょう。
死亡診断書は、国民年金・厚生年金の手続きや、葬祭費の請求などの手続きで必要となりますので、複数枚コピーをしておくとよいでしょう。
図2:死亡届と死亡診断書
2-2.世帯主変更届
世帯主が亡くなられて、15歳以上の世帯員が2人以上のとき、亡くなられてから14日以内に世帯主変更届を提出します。収入が多く、経済的に支えている方が世帯主になるのが一般的ですが、新しい世帯主は年齢や収入に関係なく、各世帯で自由に選ぶことができます。
残された世帯員がひとりの場合や、奥さまと幼いお子さんの場合など新しい世帯主が明らかな場合、あるいは亡くなられた世帯主がひとり暮らしだった場合は世帯主変更届の提出は不要です。
3.年金・健康保険の手続き
亡くなられた方が年金受給者であった場合は、受給停止手続きをおこないます。世帯主がご家族の生計を支えていた場合には、のこされたご家族が受け取ることができる遺族年金があります(請求期限5年)。年金事務所にて受給停止手続きの際、遺族年金の要件も確認するとよいでしょう。
加入していた健康保険組合の被保険者資格の喪失手続きもおこないます。
3-1.年金の受給停止手続き
年金を受給していた世帯主が亡くなられた場合、年金事務所、もしくは年金相談センターに「年金受給者死亡届」を提出し、受給停止手続きをします。厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内が期限になります。手続きが遅れ、受け取れない分の年金まで、多く受け取ってしまった場合、「返還」しなければならず、手続きが面倒になりますので、注意が必要です。
日本年金機構にマイナンバーが登録されている(マイナンバーと基礎年金番号が紐づけされている)方は、年金受給者死亡届の提出は不要です。マイナンバーの登録状況については、日本年金機構ホームページ 内の「ねんきんネット」、もしくはお近くの年金事務所で確認することができます。
表2:年金受給停止手続き
3-2.健康保険の資格喪失手続き
健康保険組合に加入していた世帯主が亡くなられた場合、お勤め先が資格喪失の届け出をしてくれますので、健康保険証の返却をすれば、特に手続きは不要です。
ご家族が被扶養者となっている場合は同時に資格を喪失します。国民健康保険、もしくは別の健康保険組合(被用者保険)に加入し直す必要があります。
国民健康保険に加入していた世帯主が亡くなられた場合、14日以内に市区町村役場に国民健康保険資格喪失届を提出します。新しい世帯主に変更した健康保険証の再発行が必要ですので、ご家族の保険証も一緒に返却します。
表3:健康保険の被保険者資格喪失手続き
4.契約の解約や名義変更の手続き
期限は設けられていませんが、なるべく早く行なうべき解約や名義変更の手続きを確認していきましょう。
預貯金、株式、自動車、ご自宅(土地と家屋)等、亡くなられた方の相続財産は、遺産分割協議が成立するまでは、原則、解約や名義変更をすることはできません。相続人全員で財産をどのように分けるかの話し合い(遺産分割協議)が整い、財産を引き継ぐ相続人の方が決まってから手続きを進めます。(4-3参照)
図3:預貯金・株券・不動産などの相続財産は遺産分割協議が成立してから手続きする
※相続財産について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
4-1.運転免許証・パスポートの返納
まずは、悪用されるリスクを避けるため、身分証明書となるものの解約をします。運転免許証は警察署、もしくは運転免許センターに、パスポートは旅券センターに返却しましょう。
表4:運転免許証・パスポートの返納手続き
図4:運転免許証を返納する
4-2.世帯主名義になっている契約の解約または名義変更
月々の支払いが生じるスマートフォンや各種会員証、クレジットカード等は、次の自動引き落としに間に合うまでを目安に解約しましょう。
世帯主が亡くなられた後もご家族が引き続き利用する契約は、解約ではなく名義変更となります。電気・ガス・水道はいずれの場合も電話もしくはインターネットにて名義変更手続きが可能です。
NTT、NHK、インターネットプロバイダー等も手続きが必要です。世帯主が賃貸契約をしていた場合、解約するのであれば「賃貸借契約の終了」を、ご家族が住み続ける場合は「賃貸人(大家さん)に賃借人の変更」を通知して、必要な手続きをすみやかにおこないましょう。
表5:世帯主名義の契約の解約または名義変更
4-3.不動産の名義変更(相続登記)
土地・家屋を所有していた世帯主が亡くなられた場合は、法務局で所有権移転登記(相続登記)をおこないます。
相続登記が年内に完了すれば、固定資産税は翌年度から新しい所有者に課税されます。(不動産は1月1日時点の所有者に固定資産税が課税されることになっています。)亡くなられた年の年内のうちに相続登記が完了していないときには、相続人の中から納税通知書の受け取り等をおこなう代表者を決めて、市区町村役場に「代表相続人指定届」を提出すると、納税洩れなどを防ぐことができます。
※相続財産の名義変更について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
5.まとめ
世帯主が亡くなられたときの手続きのポイントをご理解いただけましたでしょうか。進めなければならない手続きがたくさんありますので、期限が早いものから効率よく手続きを進めていきましょう。同時にできる手続きを確認し、何度も市区町村役場や年金事務所に出向くことがないように、事前に必要書類等を用意しておくことも大切です。
実際には、葬儀の手配と遺産相続手続きを同時並行しておこなう必要があります。ご家族の方と協力し、時には専門家の力も借りて相続手続きを進めていただければと思います。