株を相続し現金化するには名義変更が必要!現金化までの4ステップ

  • 相続手続き

「父が残した株があるけど、株ってどうやって分けたらいいのだろう」
「株を相続するなら、現金化してしまった方がいいな」

亡くなられた方が生前所有していた株を相続する場合、早く現金化したいけれど、どのように処理をすれば良いのか対応がわからない、という方もいらっしゃるでしょう。

亡くなられた方の株は、名義を変えずに現金化することは出来ません。まずは株の名義変更をする必要があります。

今回は相続した株を現金化するまでの手順を4つのステップで解説し、さらに現金化する際にかかる税金についてご説明いたします。

1.相続した株を現金化するには名義変更が必要

亡くなられた方が所有していた株は、現金や預貯金などの財産とは異なり、そのまま株券を受け取っても引き継いだことにはならず、現金化する(すなわち、売却する)ことはできません。相続した株を現金化するには、名義変更を行い、売却する手続きが必要です
また、株を複数の相続人で分割する場合には、以下の2つの方法で分けることができます。

方法①:各相続人が証券会社に口座を開設しそれぞれの口座に引き継ぐ
方法②:相続人の代表者一人が証券会社に口座を開設し、いったん全株を引き継いだ後、売却して得た現金を相続人で分割する

①の方法の場合、均等に株を分けてもそれぞれの売却時の評価によって換金額が異なり、受け取れる金額に差が生じる場合があるので、予め相続人全員が了承しておく必要があります。

②の方法の場合、売却のタイミングにより評価が変わるため、後のトラブルを避けるためにも相続人の間で売却する時期を決めておく必要があります。

図1:株の現金化には名義変更が必要

図2:相続で株を分割する方法は2つ

2.相続した株を現金化するための4ステップ

相続した株を現金化するためには、4つのステップで手続きを進めます。

図3:相続した株の現金化4ステップ

2-1.ステップ1:亡くなられた方が所有していた株の調査

はじめに亡くなられた方が所有していた株が上場株か、非上場株か、価値はどのくらいあるのかを確認します。
上場株とは証券取引所を通して株式を一般に公開して売買できるものです。一方、非上場株は証券取引所での扱いがないため、自由な売買ができません。

表1:株の調査方法

<上場株の調査方法>
上場株の調査方法は、取引していた証券会社に対して取引残高証明の発行依頼をします。
残高証明により、亡くなられた時点での銘柄や数量、時価が確認できます。取引先の証券会社は取引口座の開設の控えや取引報告書、残高証明書、特定口座年間取引報告書などが遺品から見つかっていれば確認は可能です。
書類がない場合でも株券の発行会社がわかる場合には、株主名簿管理人になっている金融機関へ問い合わせます。全く手掛かりもない場合には、証券保管振替機構(ほふり)に登録済み加入者情報の開示を請求することで確認することができます。

※上場株の相続手続きについて詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)

<非上場株の調査方法>
非上場株の取得には、上場株のように決まった方法で管理されているわけではありません。
非上場株の取得は会社の株主や債権者、関係者から譲り受けるなどの方法しかありません。そのため、株式発行会社や亡くなられた方が生前に勤めていた会社などに問い合わせをし、残高証明書の発行を依頼しましょう。また、会社法改正により株券が発行されないことが原則となり、株券がない場合があります。その場合でも心当たりのある会社へ確認してみましょう。

図4:非上場株の調査はご自身で行う

2-2.ステップ2:遺言書または遺産分割協議で分け方を決める

株の調査の次は、相続人で株の分け方を決めます。遺言書に分割の指定があればその内容を優先し、なければ遺産分割協議で分割内容を決めます。
遺産分割協議は、株だけではなく、不動産や預貯金など、ほかの相続財産すべてを含めて、分割方法を細かく話し合います。

遺言書がない場合、遺産分割協議が成立するまでは、株などを含む相続財産はすべて、相続人全員の共有財産とみなされることになります。
次のステップ3の手続きにおいて、遺言書あるいは遺産分割協議書の提出を求められるので、財産の分け方が決まるまでは勝手に売却し、現金化することはできません。

2-3.ステップ3:株の名義変更を行う

株の名義を亡くなられた方から、引き継ぐ相続人の方へ変更します。名義変更をするには、証券会社へ相続したい旨を伝え、必要書類を提出します。
名義変更に必要な書類は以下の通りですが、証券会社指定の書類もありますので、上場株の場合は証券会社に確認してください。

非上場株の場合、会社が株式名簿により株を管理しているため「株主名簿の書き換え」を依頼することにより、名義変更と同様の手続きができます。
名義変更にかかる時間は状況により異なりますが、おおよそ1ヶ月程度で完了します。

表2:上場株の必要書類


表3:非上場株の必要書類

2-4.ステップ4:株を売却して現金化する

名義変更を行った株は自由に売却して現金化することができます。上場株の場合、証券取引所を通じて売却することができます。

一方、非上場株は証券会社との関係がないため、証券取引所を通じて売却することができません。
株の購入者は相続人ご自身で見つける必要があります。

ただし、会社の規定により相続人への売渡請求が定められている場合には、所有していた株の売渡金が受け取れる場合もあります。
この場合、ご自身で現金化する必要はなくなります。非上場株の場合、会社により規程が異なりますので確認が必要です

3.株の売却により利益が出た場合の対処法

相続税は、株も含めた相続財産の総額が基礎控除を超える場合、超えた部分に対してかかります。更に、株を売却して利益が出た場合には、別途、譲渡取得税とう税金がかかります。しかし、相続税に加えて更に税金がかかるのでは負担が大きくなるので、別途、特例が設けられています。

3-1.譲渡取得税がかかる場合は特例の適用で減額できる

相続税がかかる場合、相続の開始日(亡くなられた日)の翌日から3年10ヶ月を経過する日までに株を譲渡した場合には、「相続税の取得加算税の特例」が適用されます。これにより支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡取得の金額を軽減させることで、譲渡取得税額が減額できるという仕組みです。この特例の適用には次の条件を満たしている必要があります。

<特例適用の条件>
・相続、または遺贈により引き継いだ財産
・相続税が課税され納税をしている
・相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却していること

3-2.利益が出たら確定申告が必要

一般口座や源泉徴収なしの特定口座で売却した場合や、非上場株を売り手と買い手が価格や数量を決めて取引した場合に譲渡取得が生じた場合には、確定申告をおこなう必要があります。

4.まとめ

相続した株を現金化する場合、そのまま株券を引き継ぐだけでは現金化することはできません。名義変更をしてから、希望のタイミングを見計らって売却し、現金化することができます。

株といっても、上場株と非上場株では手続きの方法が異なりますので、株の種類、銘柄、数量、残高などを把握し、どのように分割するかに関しては、遺言書に従うか、遺言書がなければ、遺産分割協議をおこない、分割内容を決定します。その後、必要書類を揃え、名義変更手続き、希望のタイミングを見計らって売却、現金化へと手続きは進みます。株の売却により、利益が所持た場合は譲渡取得税がかかり、確定申告が必要となる場合もあります。

申告方法などご不明な点がありましたら、専門家に相談されることをお勧めいたします。

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