遺産分割協議成立申立書で100万円以下の車を自分で相続する方法
- 相続手続き
「亡くなった父が長年乗り続けた愛車。話し合いの結果、廃車するのは忍びないので、自分が代表して乗り続けることになった。手続きについて調べていたら、遺産分割協議成立申立書が必要らしいが、いったい何のことだろう?」
一般的に難しくて手間がかかるイメージの相続手続きですが、車の場合、査定額が100万円以下であれば、「遺産分割協議成立申立書」を使って、手続きを簡略化することができます。
遺産分割協議成立申立書とは、相続でよく聞く「遺産分割協議書」と何が違うのでしょうか?
本記事では、遺産分割協議成立申立書とは何か、入手先や書き方、手続きに必要な書類のことまで、詳しくご説明していきます。
ご自身でお手続きできますので、本記事をぜひ参考にしていただければと思います。
目次
1.遺産分割協議成立申立書とは100万円以下の自動車を相続するときの書類
遺産分割協議成立申立書とは、査定額が100万円以下の自動車を相続する場合に、遺産分割協議書に代えて提出できる書類です。
査定額は、買取業者のホームページから相場価格の確認はできますが、手続きの際に、査定額を証明する書類の提出(4章で説明)が必要となります。
相続で、自動車の名義変更(移転登録といいます)を1人の方にする場合、原則は遺産分割協議書が必要です。遺産分割協議書には、相続人全員の署名、実印の押印、そして印鑑登録証明書を添付しなければなりません。
相続人が遠方に住んでいる、または、相続人の人数が多い場合などは、書類を取りまとめるだけで時間と手間がかかります。
遺産分割協議成立申立書にすると、自動車を引き継ぐ新しい所有者の方だけで手続きが完了します。
【遺産分割協議成立申立書で簡略化できること】
・署名、実印の押印=新所有者だけでよい
・印鑑登録証明書の取得=新所有者の分だけでよい
・相続人であることの証明=亡くなられた方と新所有者の関係性だけ証明できればよい
図1:車の査定額を調べ、だれが引き継ぐか決める
図2:遺産分割協議成立申立書を利用して車を相続する流れ
※自動車の名義変更について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
2.遺産分割協議成立申立書は運輸局ホームページから取得
遺産分割協議成立申立書は、運輸局のホームページからダウンロード、もしくは運輸支局の窓口で入手できます。
申立書は、新所有者となられるご本人が記入します。管轄の運輸支局は、国土交通省のホームページで調べることができます。
図3:遺産分割協議成立申立書の例
3.遺産分割協議成立申立書の書き方
遺産分割協議成立申立書の書き方を詳しくみていきます。
図4:遺産分割協議成立申立書の書き方
①登録番号:自動車検査証(図5)を確認の上、記入
②車台番号:自動車検査証(図5)を確認の上、記入
③亡くなられた方の名前
④亡くなられた日付
⑤遺産分割協議が成立した日付
⑥遺産分割協議成立申立書により名義変更をすることを他の相続人が同意した日付
※申立書による申請の同意年月日は、⑤遺産分割協議が成立した日以降
⑦申請した日
⑧新所有者の住所、名前
⑨実印を押印
図5:自動車検査証とは
4.遺産分割協議成立申立書とともに提出する必要書類
遺産分割協議成立申立書以外に必要な書類は、以下のとおりとなります。(表1)
遺産分割協議成立申立書による手続きは、査定額が100万円以下の場合に限られるため、査定額を証明する書類を準備しなければなりません。
査定は、国土交通省の許可を受けた日本自動車査定協会に依頼し、時価を証明する「査定証」を発行してもらうことをおススメいたします。
なお、査定手数料は、軽自動車の場合5,500円ほど、普通自動車の場合で1万円ほどかかります。
管轄の運輸支局に書類を提出し、受理されると新所有者の自動車検査証が交付され、手続きが完了します。
表1:その他の必要書類
5.まとめ
遺産分割協議成立申立書は、査定額が100万円以下の自動車の名義変更(移転登録)をする場合、遺産分割協議書の代わりをする書類です。手続きを簡略化することができます。
査定額が100万円以下であることを証明する査定証の添付が必要なため、査定する手数料が別途かかることにご留意ください。
遺産分割協議成立申立書の書き方や、必要となる書類の準備も、さほど難しくはありませんので、ご自身で手続きをされてみてはいかがでしょうか。