公正証書遺言の必要書類と入手方法はこれでわかる!公証役場で作成するまでの6ステップ

  • 相続手続き

ご自身の財産を大切なご家族にきちんと引き継ぐために、遺言書はとても重要です。遺言書には大きく分けて2種類あり、ご自身で作成する自筆証書遺言書と公証役場にて作成する公正証書遺言です。

自筆証書遺言に比べて公正証書遺言の作成には、時間と費用がかかりますが、大きなメリットとして

・法律の専門家によって作成されるため無効にならない
・原本は公証役場で保管されるため書き換えや紛失の心配がない
・家庭裁判所での検認手続きが不要

などがあげられます。

今回は、公正証書遺言書を作成する際に必要な書類をだけでなく、作成までの6つのステップもご紹介します。

是非、公正証書遺言書作成にお役立てください。

1.公正証書遺言とは公証人が作成する遺言書

公正証書とは、公証人が作成する文書の事です。公証役場には裁判官や検察官のOB、弁護士から法務大臣により任命される公証人と呼ばれる法律実務家が常駐しており、遺言書を公正証書として作成することができます。

<公正証書遺言>
遺言書の作成を希望するご本人の他に、2名以上の証人が立ち合い、公証人に対して遺言書に記したい内容を口頭で伝えます。公証人が遺言書を作成するため、不備はなくなります

図1:公正証書遺言書

※公正証書遺言について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)

2.公正証書遺言書作成時の必要書類と入手方法

公正証書遺言作成時の必要書類には、遺言書を作成する方に関する書類、財産を引き継ぐ方に関する書類、相続財産に関する書類が主に必要になります。
入手方法、費用などを含めてご紹介します。

表1.遺言書を作成する人に関する書類

 必要書類

 取得場所

  費用

    備考

戸籍謄本

本籍地の市・区役所

一通450

印鑑登録証明書

居住地の市区町村役場

200円~400

 作成前3ヶ月以内のもの

2.財産を引き継ぐ人に関する書類

  必要書類

  取得場所

   費用

      備考

遺言を作成する人との関係が分かる戸籍謄本

本籍地の市・区役所

一通450

財産を受け取る人が法定相続人である場合

遺言を作成する人の戸籍謄本に記載されている場合は不要

住民票

市・区役所

200円~400

財産を引き継ぐ人が法定相続人でない場合に必要

3.相続財産に関する書類

        必要書類

取得場所

 費用

      補足

預貯金等

通帳などのコピー

金融機関名・支店名の分かるコピー

預貯金等の内容のメモ

預貯金等の現在の金額が分かるメモ。証明書は不要。

不動産関係

固定資産税の納税通知書

市役所から毎年4月頃に郵送されてくるもののうち直近のもの。

登記事項証明書

法務局

600円

 

その他財産

(ゴルフ会員権等)

財産の内容が分かるメモ

内容と現在の金額(価値)の分かるメモ。

4.その他の必要書類

       必要書類

取得場所

 費用

      補足

証人2人に関するもの

住所・氏名・生年月日・職業などを書いたメモ

公証役場で紹介してもらう場合は不要。

遺言執行者に関する書類

住民票

市・区役所

200~400

遺言執行者を指定する場合のみ必要。

<公正証書遺言作成における手数料>
必要書類とは異なりますが、公証役場で公正証書遺言を作成する場合、手数料がかかります。この手数料は、財産を引き継ぐ方ごとの手数料を計算して合算したものになります。

表5:公正証書遺言作成手数料

3.公正証書遺言作成までの6ステップ

公正証書遺言を作成するまでのステップは6つです。
必要書類を持参すればすぐに作成できるというわけではありません。ステップをご確認いただき、必要書類以外にも予め準備しておくと効率よく手続きを進めることができます。

図2:公正証書遺言作成6ステップ

3-1.ステップ① 遺言に残したい内容をまとめる

初めに、ご自身の財産を書き出します。
一般的には財産目録と言われているものを作成すると良いのですが特にフォーマットはありません。財産の種類とおおよその財産額を書き出します。その後、誰に何をどのくらい引き継ぐのか、遺言書の内容は誰に実行してもらいたいのか(遺言執行者)など、遺言書に記載する内容についてまとめていきます。

※財産目録について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)

※遺言執行者について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)

3-2.ステップ② 証人を2名決める

相続人以外の2名の証人が必要となります。財産内容や遺言の内容をすべて知ることになるので、信頼できる方または専門家を選びます。適当な公証人が見つからない場合は、公証役場で手配してもらうことができますので公証役場へ相談しましょう。

3-3.ステップ➂必要書類を揃える

2章でご説明した内容の書類を準備します。
遺言書を作成するご自身に加え、証人、遺贈する方、遺言執行者といった関係者の書類も準備が必要となります。その他、財産内容のエビデンスも準備します。

3-4.ステップ④ 公証人との事前打ちあわせをする

まずは公証役場へ連絡し、決められた日時にご自身だけで相談に行きます。
無料相談のようなもので、誰にどのくらい財産を引き継がせるかなどご自身が考えてきたことを、公証人の方と話し合い、内容や表現方法など遺言書の方向性を決め原案の作成をしてもらいます。
そして、遺言書作成日に必要な書類を確認したり、必要があれば証人の準備を依頼します。

最後に、遺言書作成日の予約をします。

3-5.ステップ⑤遺言書の作成、確認

予約した日に自身と証人2名で公証役場へ行きます。事前の打ち合わせで作成した原案を基に、公証人は公正証書遺言の内容を読み上げながら、遺言作成者の方の意志と相違はないか確認を行います。

3-6.ステップ⑥公正証書遺言の完成

遺言書の内容に誤りが無ければ、ご自身と証人2名が署名、押印をします。
公正証書遺言は3通作成されるので、1通は公証役場に保管され2通は正本および謄本としてご自身が受け取ります。最後に公正証書作成手数料を納めれば完了です。

4.遺言書作成時の注意点

ここでは公正証書遺言に限らず、遺言書を作成する際に注意する点を3つご紹介します。

4-1.遺留分を侵害しない

遺留分とは相続人が最低限引き継ぐ事のできる財産の割合で、法律で守られています。
遺留分の権利が保障されているのは、配偶者と相続順位第一順位(お子さん)から第二順位(ご両親、祖父母)の方です。
遺留分を無視されてしまった相続人が、財産を多くもらった相手に対し、遺留分を請求することができますが、その場合もめてしまうケースは少なくありません。遺言書が原因で相続人どうしでトラブルが起きることを防ぐため、遺留分を侵害しない相続分を決める必要があります。

※遺留分について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)

3:遺留分割合

4-2.遺言執行者を指定する

遺言執行者とは、遺言書の内容を確実に実現する役割を持つ方のことです。
相続財産の管理や不動産の登記の手続き、金融機関への払い戻し手続きなどを担います。遺言書に記載されていればその時点で遺言執行者の役割を担うため、裁判所へ申し出るなどの手続きは一切不要となります。
図4:遺言執行者とは

※遺言執行者について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)

4-3.特別受益に配慮をする

特別受益とは、相続人の中で亡くなられた方から特別な利益を受けることをいいます。
特別受益については、相続開始のときに相続財産と合算して遺産分割をしなければならない(特別受益の持ち戻し)と定められています。遺言書に財産の引き継ぐ割合を明記する際、生前の贈与分を相続の際に配慮することにより、相続人間の平等をはかるための制度です。

5:特別受益に配慮する

5.まとめ

公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言書のことです。
遺言の作成者である方の他に、2名以上の証人が立ち合い、公証人に対して遺言書に記したい内容を口頭で伝えます。公証人が作成するため、遺言書の不備もなく紛失や偽造の心配もありません。公証役場で遺言書を作成する場合には、予め必要書類を揃えること以外にも相続人や財産の把握をして、どのように財産を分けるかなどの内容をきちんと考えていきましょう。

あ必要書類について疑問がある、財産の把握の仕方が分からないなどご不明な点等がございましたら、お気軽に税理士にお問い合わせください。

 

 

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