相続税の申告が不要な約92%の方必見!自分で不要だと確信する手順

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大切なご家族が亡くなられたあとは、悲しみに暮れているばかりもいかず四十九日を目途に相続をどうするか検討が必要となります。もし相続税の申告が必要であった場合には10ヶ月以内に申告も納税も必要です。

ほとんどの方が相続税の申告が不要だと聞かれたことがあると思います。実際には相続の92%は申告が不要です。
相続税の申告が不要な場合には、税務署等に対して何もしなくて良いのですが、はっきりしないと不安ではないでしょうか。できれば「あなたは相続税の申告は不要です」と誰かに言ってもらいたいものです。

「自分は相続税の申告が本当に不要なのだろうか」と気になられているあなたに、申告が不要か否かの判断基準を徹底的に解説します。

1.相続税の申告が不要となる判断基準は遺産が3,000万円以下

亡くなられた方の財産を受け継ぐ方は全員が相続税の申告をしなくてはいけない、というわけではありません。財産を受け継いだ方で申告・納税のそれぞれが不要であるかどうかは、次の3つのいずれに該当するかで確認することができます。
相続が発生した92%は相続税の申告も納税も不要となります。

図1:申告・納税が不要か否かのパターン

1-1.判断基準以下の場合は申告・納税は不要

相続税の申告も納税も不要な方は、相続税に関わる手続きは一切不要です。これが自己判断となるため税務署から調査等が来ないか、ペナルティを受けないか本当に心配になります。これらは相続する財産が判断基準となる額を下回っていれば不要という法律です。もし、心配な方は税理士に相続税の申告が不要である旨を確認しましょう。

1-2.判断基準は「基礎控除額」と呼ぶ

相続税の申告が必要か不要かを判断する基準のことを「基礎控除額」と言います。相続税のことを調べていると必ず出てくるもので、この額を下回れば相続税の対象にはなりません。この基礎控除は相続人の数によって変更しますので、まずは誰が相続人となるか確認しましょう。そのうえで1-3の早見表を使って確認しましょう。

※相続人の数について詳しくは、こちらを参考にしてください。

1-3.基礎控除額の早見表

財産を相続する権利がある方(配偶者、子どもなど)を法定相続人といい、1-2のリンク先の相続順位から法定相続人の数が正確に分かれば、基礎控除の額も明確になります。
基礎控除額は「3,000万円+法定相続人×600万円」という式で算出できます。相続人がいない場合(0人)が3,000万円となります。注意点としては、相続放棄をした相続人、離婚した奥さんとの間の子ども、養子縁組した方なども含まれます。

図2:基礎控除額の計算式と早見表
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1-4.概算で3,000万円近い場合は税理士の無料相談へ

亡くなられた方の財産をおおよその概算で計算した場合、3000万円近くになった方は、相続税に強い税理士の無料相談に参加することをオススメします。
財産を正確に評価する必要があり、申告が必要だった場合に申告をしていないとペナルティを受けます。実際には申告が必要な方でも、土地など特例を利用することで相続税を計算する際に価値を大幅に下げることができるため納税が不要となる方も多くいます。

※税理士選びのヒントについて詳しくは、こちらを参考にしてください。

2.相続税の申告が不要なのか相続財産の総額を試算

1章で相続税の申告が不要となる基礎控除額についてご説明しましたが、次に相続財産の総額をどのように考えるべきかについてご説明します。相続財産の考え方を間違えてしまうと、実は相続税の申告が必要だったとなりかねませんので、財産をすべて把握して試算をしましょう。

2-1.5つの相続財産を把握する

財産を考える場合には、大きく5つの財産にわけて考えていきます。財産価値のあるものを足していくだけでなく、借金などのマイナスの財産については引くことができます。
このように足し引きをして相続財産の総額を試算していきます。その際に、計算が難しいものにつきましては、2-3でご紹介します。

表1:5つの相続財産

財産の種類 説     明
本来財産 プラス財産とも言われ、現金や土地などの価値のある財産
みなし財産 亡くなられたことがきっかけで財産となるお金を受け取ることができる財産
非課税財産(祭祀財産) 習慣を尊重する意味から、先祖をまつる財産
贈与財産 亡くなった日から3年以内に贈与された財産
マイナス財産 借金や未払い金など亡くなられた方のために支払う財産

図3:5つの相続財産
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2-2.相続財産の計算で忘れがちな3つの財産

初めて相続財産を計算する場合など、うっかり相続財産の計算をする際に忘れてしまいそうな財産について考え方をご説明しますので、しっかり確認しましょう。

①3年以内の生前贈与は戻し入れる

亡くなられた日から3年以内に贈与された財産は、相続の際に相続財産として取り扱われます。暦年贈与の110万円内で贈与された財産も、贈与税を支払った財産も相続財産として戻し入れて考えます。実際には、現金を戻したりしませんが、相続財産の総額には足していきます。

※3年以内に贈与された財産について詳しくは、こちらを参考にしてください。

②非課税枠内の生命保険金・退職金は戻し入れない

ご家族が亡くなられたことがきっかけで、生命保険金や死亡退職金など財産としてお金を受け取ることがあります。この財産は相続財産を試算する際に手元に届いていないかもしれませんが、いずれもらえることから、もらったものとみなして計算します。
ただし、みなし相続財産のうち「生命保険」と「死亡退職金」については非課税枠があります。この非課税枠を超えた場合には、相続財産として足していきます。いずれも、500万円×法定相続人の数が非課税枠となります。

※みなし相続財産について詳しくは、こちらを参考にしてください。

図4:生命保険金・死亡退職金の非課税枠
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➂マイナス財産は相続財産から差し引く

手元にある現金や預金、不動産など財産を足していくばかりではなく、借金や未払い金についてはマイナスすることができますので、借入の明細書や請求書を確認して亡くなられた方が本来支払うべきお金だったとして、相続財産の総額から差し引きます。

2-3.不動産・非上場株の評価は難しい

相続財産の中でも現金はすぐに財産金額が求められますが、不動産や非上場株式の価値は、すぐに正しく把握することはできません。不動産は土地と建物をそれぞれ計算して求めます。土地は路線価等の国が発表している指標をもとに計算していきますが、きれいな四角い土地ばかりではないこと、2路線に接している土地や角地の場合など考えるべき内容がたくさんあります。
また、非上場株はその会社の資産等を確認して株価の計算をする必要があります。その非上場株を発行している会社へ連絡するなどして株価を時価で算定してもらう必要があります。
 
これらをご自身で対応することは非常に難しいです。

※家の相続税について詳しくは、こちらを参考にしてください。

※株の相続税について詳しくは、こちらを参考にしてください。

表2:不動産の評価額の目安 ※借地権割合:地区に応じて90~30%

財 産 概算評価額
宅地(自用地) 土地の時価 × 0.8
宅地(貸地) 土地の時価 × 0.8 × (1-借地権割合)
その他の土地 土地の時価 × 0.8
借地権のある土地 土地の時価 × 0.8 × 借地権割合
家屋 固定資産評価額

3.相続税の申告が不要となることを確認する計算イメージ

図5の計算結果イメージをもとに、相続税の申告が必要かどうかの判断をしていきます。1章・2章の内容を加味するとこのようなイメージで計算することができます。相続税の申告が不要となるのは、相続財産が基礎控除以下の場合です。92%の方が申告は不要となります。
 
図5:相続税の申告が不要かどうかを確認する計算イメージ
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図6:相続税の申告が不要かどうかを確認する計算例
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4.相続税の納税が不要でも申告が必要なケース

相続税の申告が必要となった場合でも、相続税の特例を活用することで、納税が不要となる場合があります。特例を適用することにより、相続税の納税が不要になるという申請を相続税の申告期限内に行う必要があります。

特例の適用には、遺産分割協議という財産をどのように分割するかの話し合いを終え、相続税の申告書を税務署に提出することで認められます。
相続税の申告書の提出期限は亡くなられてから10ヶ月です。計画的に相続の手続きを進めましょう。

※相続の期限について詳しくは、こちらを参考にしてください。

図6:相続税の申告が必要だが納税が不要となるイメージ
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表3:申告をしなければ使えない控除・特例一覧

  控除できる金額、特例を使うメリット 該当条件
配偶者の税額軽減 「1億6000万円また配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額に対する税額 婚姻期間に制限はない
未成年者控除 未成年者が満20歳になるまでの年数1年×10万円の税額 日本国籍を有する20歳未満の法定相続人が相続で財産を取得した時
障害者控除 障害者が満85歳になるまでの年数1年×につき10万円(特別障害者は20万円)で計算した金額 障害者であり日本国内に住所を持つ85歳未満の法定相続人が財産を受け継いだ時
小規模宅地等の特例 相続開始の直前まで亡くなられた方が自宅として使っていた土地、事業用に使っていた土地の評価が最大で80%下がる 亡くなられた方と同居していた家族、または生計を一にしていた家族
農地等についての納税猶予の特例 相続人が農業を継続していく限り相続税の納税が猶予される 農地等を相続して農業を営む時

5.相続税の申告が不要でも相続手続きは忘れずに

相続税の申告が不要でも、財産をどのように分割するか相続人で話し合いをする遺産分割協議をおこない分割内容を決定すること、亡くなられた方の名義になっている財産の名義変更をする必要があります。
相続税の申告が不要な場合には期限も無く任意となりますが、先延ばしをするほど相続人が増えるなど円満に進みづらくなるため、早期に対応しましょう。

5-1.遺産分割協議をおこなう

把握した全ての財産の評価をし、相続人全員で財産を分けていきます。ただし、遺言があった場合には優先されますので、まずは遺言を探して見つからなかった場合に遺産分割協議を進めていきます。遺産分割協議は、お金が絡むことからトラブルに発生しやすいものです。お互いに配慮し合って、皆が納得できる形になるよう、話し合いを進めましょう。また、遺産分割協議が整ったら遺産分割協議書を作成します。

※遺産分割協議について詳しくは、こちらを参考にしてください。

5-2.相続登記(名義変更)を忘れずに

遺産分割協議で決めた通りに、預金や不動産などの名義変更手続きを行います。それぞれ、色々な書類を集めて申請が必要となりますので、意外と時間がかかります。

一例はこちら

※口座の名義変更について詳しくは、こちらを参考にしてください。

※自動車の名義変更について詳しくは、こちらを参考にしてください。

6.さいごに

相続税の申告が不要なのかどうかのご判断はつきましたでしょうか。
92%の方が相続税の申告が不要となります。しかし、「不要だから何もしなくて良いですよ」という案内もないため、ペナルティを受けないかなど、不安に思うこともあります。

今回の内容は、基礎控除額の把握と、相続する財産の資産がポイントでしたね。ただし、相続財産の総額が少ない場合は良いのですが、申告が絶対に不要だと確信を持てない場合には、ぜひ税理士にご相談されることをおすすめします。
相続税の申告・納税までが10ヶ月という期限は意外に短いものです。もしものときに、相続人全員で遺産分割協議をする時間もかなりの期間を要します。相続専門の税理士という心強いパートナーとともに、安心して相続を乗り切りましょう。

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