【ゆうちょ銀行の相続必要書類一覧】取得先と取得方法を詳しく解説
- 相続手続き
「ゆうちょ銀行の相続手続きに必要な書類のことが知りたくて、ホームページを見たがよく分からなかった。他の銀行と同じような書類だと思うけれど、詳しいことはやっぱり窓口に行かなければ教えてもらえないかな・・・?」
ゆうちょ銀行は他行とは少し違い、銀行の窓口ではなく「相続貯金事務センター」というところで一括して相続手続きをおこなっています。銀行窓口に行くと、相続手続きに必要な書類のことなどを教えてもらえるイメージがありますが、ゆうちょ銀行の場合は、相続が発生したことを所定の用紙に記入して、窓口を通じて「相続貯金事務センター」に提出したあと、個別に、郵送で必要書類が案内される流れとなっています。
本記事では、相続手続きの経験をもとに、ゆうちょ銀行の相続必要書類について分かりやすくまとめてみました。相続手続きを段取りよく進めるための参考として、ぜひご一読いただければと思います。
目次
1.ゆうちょ銀行の相続手続きで必要な書類一覧と手続きの流れ
ゆうちょ銀行の相続手続きに必要な書類は、図1のようになっています。
ゆうちょ銀行の窓口は、相続人と相続貯金事務センターのいわば中継地点の役目をしているだけで、実際の相続手続きはおこないません。手続きはすべて相続貯金事務センターでおこなうことになります。
全国どこの窓口でも書類の受付はしていますので、以下の必要書類がすべて整ったら、窓口に出向いて書類を提出し、相続貯金事務センターに送ってもらいましょう。郵便局の貯金窓口も利用できますが、同じ相続手続きをおこなう間は、最初に利用した窓口を原則、変えてはいけないことになっていますので、利用しやすい場所で手続きを始めるようにしてください。
図1:ゆうちょ銀行の相続手続きの必要書類
①は、窓口やホームページより入手することができます。また、ご自宅にインターネットの環境があれば、相続確認表を提出することと同じ内容のお手続きを、インターネットよりおこなうことが可能です。携帯からもサービスの利用は可能です。
②は、ご自宅に郵送されてくる「必要書類のご案内」に同封されている相続届の所定用紙です。万が一、書き損じてしまった場合には、ホームページより「Webサイト用」がダウンロードできますのでご利用ください。
図2:貯金等相続手続請求書(ダウンロード版)の見本
③は、やむを得ない理由で必要書類の提出を第三者の方に依頼する場合にご利用ください。委任状も「必要書類のご案内」に同封されていますが、ホームページよりダウンロードすることも可能です。
図3:委任状(ダウンロード版)の見本
④は、亡くなられた日からさかのぼって、生まれた日までの繋がった戸籍謄本を揃えてください。
戸籍類は必ず返却していただけますので、部数を多めに取得する必要はありません。
⑤は、相続人全員の現在の戸籍謄本を取得してください。法務局で「法定相続情報一覧図の写し」を取得されている場合は、④⑤ともに省略し、法定相続情報一覧図の写しで代用することが可能です。
※「法定相続情報一覧図の写し」について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
⑥は、相続人全員の印鑑登録証明書を揃えてください。ゆうちょ銀行に申し出れば、印鑑登録証明書の原本も返却していただけます。
⑦は、遺言書や遺産分割協議書が作成されていれば、原本の提出が必要となります。コピーをとった後、返却されます。
ゆうちょ銀行の相続手続きは、図4の流れで進みます。
図4:ゆうちょ銀行の相続手続きの流れ
2.【ゆうちょ銀行からもらえる】書類の種類と記入例
図1の①から③は、ゆうちょ銀行からもらうことができる書類です。記入漏れがないようにご記入ください。①の相続確認表は、代表の方がすべて記入しても問題はありませんが、②の貯金等相続手続請求書の各相続人欄は、相続人の方が各々直筆でご記入ください。①から③の記入見本を詳しくご説明いたします。
2-1.窓口でもらえる「相続確認表」
「相続確認表」は、亡くなられた方のゆうちょ銀行における貯金の状況や、相続人の関係を確認するための書面です。貯金の状況が詳しく分からない場合は、窓口、もしくはホームページからダウンロードできる「貯金等照会書」をご記入の上、窓口に提出し、現存照会をしてもらってください。ゆうちょ銀行に存在するすべての貯金状況を把握することができます。
相続確認表は3枚綴りとなっています。ゆうちょ銀行の相続に伴う解約は、相続人の方のゆうちょ銀行の通常貯金口座に払い戻すことが原則となりますが、「払戻金を証書で受け取り、現金化する」、または「相続人の方に口座の名義を変更する」方法も選択でき、いずれにするか、3枚目に記入するようになっています。
図5:相続確認表(ダウンロード版)の記入例(1枚目)
図6:相続確認表(ダウンロード版)の記入例(2枚目)
図7:相続確認表(ダウンロード版)の記入例(3枚目)
※相続確認表について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
2-2.貯金事務センターから郵送されてくる「貯金等相続手続請求書」
「相続確認表」を提出してから1~2週間程度で「必要書類のご案内」が、指定された場所に郵送されます。必要書類は、相続確認表の記載内容(貯金の種類や、遺言書の有無、解約方法など)により異なります。
郵送されてくる「貯金等相続手続請求書」は」、ゆうちょ銀行所定の相続届の書類です。相続人全員の署名と実印の押印が必要です。
図8:貯金等相続手続請求書の記入例
2-3.手続きを第三者の方に頼む場合は委任状が必要
ゆうちょ銀行の相続手続きは、専門家など、相続人ではない第三者の代理人の方がおこなうこともできます。ただし、必要書類に加え、委任状が必要です。
委任状は「必要書類のご案内」に同封されています。ホームページよりダウンロードすることも可能です。委任状は、手続きを委任する相続人の方が自筆ですべて記入する必要があります。
図9:委任状記入のポイント
3.【ゆうちょ銀行以外で取得する】書類の内容と取得方法
必要書類には、相続人の方がご自身で取得しなければならない書類もあります。亡くなられた方と相続人の関係性を明らかにする戸籍謄本類、実印であることを証明する印鑑登録証明書などです。
戸籍謄本、遺産分割協議書等は手続き完了後、もしくは窓口にて必要書類を提出する際に、その場でコピーを取り、原本は返却されます。印鑑登録証明書は、原則、返却されないことにはなっていますが、返却をご希望される場合は、忘れずに窓口で申し出る、もしくは付箋などにメモしておきましょう。
3-1.亡くなられた方の戸籍謄本一式
亡くなられた方の出生からご逝去までの「戸籍謄本一式」を揃えていきます。亡くなられた方の最後の本籍地を管轄する役所から順に辿って取得していきます。
戸籍謄本の内容をすべて確認することは、相続できる権利がある相続人の方を正確に把握することが目的です。戸籍謄本は、その戸籍にどなたもいなくなった場合に「除籍謄本」となります。また、戸籍法という法律が改正され、戸籍謄本が自動的に改製されていることがあり、その場合、改製される前の戸籍謄本のことを「改製原戸籍」といいます。
亡くなられた方の戸籍謄本を取得していくと「改製原戸籍」「除籍謄本」「戸籍謄本」という3種類の謄本が揃うのが一般的です。さらに、引っ越しや婚姻などを機に本籍地を変更している方も多くいらっしゃるので、すべての戸籍謄本を揃えるには、かなり時間がかかるかもしれません。早めにご準備されることをお勧めいたします。
※除籍謄本について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
※除籍謄本の取り方について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
3-2.相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の現在の戸籍謄本を揃えます。戸籍謄本には有効期限はありませんが、できれば相続が発生した日以後に取得された、新しい日付の戸籍謄本を揃えていただければと思います。
取得先は、各相続人の方の本籍地を管轄する役所になります。郵送で請求することはできますので、各役所のホームページをご確認の上、取得手続きを進めてください。急ぐ場合には、速達対応で請求してください。
3-3.相続人全員の有効期限内の印鑑登録証明書
相続人全員の印鑑登録証明書が必要です。貯金等相続手続請求書には、必ず実印を押さなければなりません。印鑑登録証明書には有効期限があり、相続発生日以降に取得したもので、取得から6ヶ月以内のものをご用意ください。
また、印鑑登録証明書は代理で取得することはできませんので、相続人の方々に取得していただくよう、時間に余裕をもってお願いしていただければと思います。
※印鑑登録証明書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
3-4.遺言書または遺産分割協議書はなくても大丈夫
遺言書や遺産分割協議書がある場合は、原本を提出します。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所の検認が済んでいることを確認できる書類も添付します。
遺産分割協議書は、相続手続きをすすめる上で絶対に必要な書類ではありません。相続人がお1人の場合や、複数の相続人の方がいても法定相続分で分割する場合は、作成しなくてもよいことになっています。後にトラブルとなることを避けるためにも、相続する財産の分割方法を相続人全員が納得したということをきちんと書面に残しておくことは大切なことです。
遺産分割協議書などは提出されなくても「貯金等相続手続請求書」に、相続人全員の直筆の署名と実印が押印されていれば、相続手続きは問題なく進みますのでご安心ください。
※遺言書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
※遺産分割協議書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
4.まとめ
ゆうちょ銀行の相続手続きに必要な書類をご理解いただけたと思います。
ゆうちょ銀行の相続手続きでは、一般的に相続手続きで必要となる「亡くなられた方の戸籍謄本一式」「相続人全員の戸籍謄本と印鑑登録証明書」に加え、「相続確認表」「貯金等相続手続請求書」というゆうちょ銀行所定の書類を入手することがポイントとなります。
他行と違って、窓口で相続手続きをおこなっていないため、書類に不備があると郵送での返送となり、少し時間がかかります。
相続人の方の人数が多いと、訂正するにも時間がかかりますし、印鑑登録証明書の有効期限が切れてしまうなどの問題も生じますので、記入内容や取得する書類などには不備や不足がないよう、十分に確認した上で手続きを進めてください。
手続で分からないことがあれば、窓口やホームページを利用して早めに確認する、もしくは、相続手続きを代理でおこなう専門家に相談することも問題解決が早く、おススメいたします。