相続税の無料相談ができる4つの相談先と相談できる内容について
- 相続税
人生の中で、そう何度も経験することではない相続。
まして相続税については、馴染みのある税金ではないため
「そもそも相続税って、かかるのだろうか?」
「財産の評価ってどうすればよいのだろうか?」
「相続税が安くなる特例を使うにはどうすればよいのだろうか?」
など、次から次へと分からないことが出てくると思います。
相続税の相談をするなら、やはり税理士なのかな?と頭に浮かぶと思いますが、専門家に依頼してしまえば報酬がかかってしまうから、できれば無料相談で解決できたらいいな、とお考えではないでしょうか。
実は、相続税の無料相談ができるところはいくつかあります。
本記事では、相続税の無料相談について、相談先と相談できる内容をまとめました。相続税には申告期限がありますので、直前になって慌ててしまうことがないように、無料相談を上手く活用して、余裕を持って手続きを進めていただければと思います。
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、現在は対面による相談を中止している場合があります。電話やWebでの相談に切り替えて実施している相談先も多数ありますので、事前にご確認されることをお勧めいたします。
目次
1.相続税の無料相談ができるのは「税務署・役所・税理士会・税理士事務所」
相続税に関する相談は、税理士の資格を持った方、もしくは、税務署の職員の方のみが対応できることになっています。それ以外の方が相続税の相談を受けてしまうと、たとえ無料相談であっても、税理士法という法律に違反することになりますので十分注意してください。相続税について、安心して無料相談できるところは、税務署、役所の税務相談窓口、税理士会、税理士事務所の4ヶ所となっています。
図1:相続税の無料相談ができるところ
それぞれの相談先の「お勧めできる点とお勧めできない点」を2章でまとめています。読み進めながら、
一番相談したいことが何であるのかを明確にしていただけると、相談先を迷わず選ぶことができるでしょう。
2.目的別に選ぶおススメの相談先
4ヶ所の相談先には、それぞれの特徴があります。以下の内容を参考に、一番相談したいことをスムーズに解決できそうな相談先を選んでいただければと思います。
相談の内容が簡潔であれば、電話相談を利用することもできます。しかし、相談内容が複雑だったり、申告が必ず必要という場合は、面談形式で相談していただく方がスムーズです。
2-1.「相続税の基本的なことから簡単な申告書の作り方を確認したい」場合は税務署
税務署は公的な機関なので、何といっても安心感があり、税金の申告をしようとしている一般の方をサポートすることに努めています。税務署の職員の方に、基本的な相談から申告に関することまで、気軽に相談することができます。
また、申告内容が預貯金だけで難しくないなどの理由から、ご自身で申告書の作成をしてみたいとお考えの方は、職員の方が親身に教えてくださる税務署で相談されることをお勧めいたします。
細かな計算自体はご自身でおこなわなければなりませんが、記載方法などでわからないことがあれば、何度でも相談することができます。ただし、節税に関するアドバイスや、難易度の高い専門知識が必要な個別相談をすることは、時間も限られていますので難しいでしょう。面談の所要時間は30分程度ですが、相談を希望される場合は、あらかじめ電話予約が必要となります。
参考:国税庁「税に関する相談窓口」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shirabekata/9200.htm#ichiran
良い点(相談できる) | 基本的な申告書の作成方法、簡単な計算方法、電話相談は匿名でよい、 何度でも相談できる 相続税に精通した職員の方に相談できる |
悪い点(相談できない) | 評価方法などで難易度の高い相談は難しい、 相談できる所要時間は30分程度、節税に関する相談はできない 電話がつながりにくい、相談日の予約が取りにくい場合がある |
2-2.「相続税がかかるかどうかの基本的で一般的なことが知りたい」場合は役所
役所の税務相談窓口では、決められた曜日と時間に、相談員となる税理士が出向して対応しています。日時指定や時間の制限がありますが、お近くの役所に行くだけで、気軽に相談することができます。
予約制となりますので、ホームページなどをご確認の上、事前予約してください。役所の税務相談窓口では、相続税のほかにも、所得税、贈与税、法人税、市民税といった税務に関する一般的なご相談を一括してお受けしていますので、必ずしも相続税に精通した税理士の方に相談できるわけではありません。何度でも相談することはできますが、毎回担当者が変わるので、継続した相談をすることは難しいでしょう。
良い点(相談できる) |
税務の一般的な相談、何度でも相談できる |
悪い点(相談できない) | 相続税申告に関する具体的な相談、節税テクニック、相談日時が限定されている、 相談時間が短い、相続税に精通している税理士とは限らない |
2-3.「相続税に関する一般的な相談と税理士の紹介をしてほしい」場合は税理士会
信頼できる税理士に相談を希望される方は、税理士会のおこなっている無料相談会へ参加されることをお勧めいたします。税理士会の活動は営利目的ではないため、気軽で相談することができます。また、税理士会には様々な税理士が所属しているので、相続経験豊富な税理士を紹介していただくこともできます。
無料相談は毎週開催しているものや、テーマに沿って開催しているものがありますので、開催の内容、日程や場所を事前に確認した上で参加していただくとよいでしょう。
全国に税理士会の支部がありまのすので、最寄りの税理士会で予定されている相談会の日程を調べて、予約してください。ただし、大きな規模の相談会では一般的な質問に対する回答に留まり、個人的な内容の相談は受けつけてもらえない可能性があります。
参考:東京税理士会のホームページ
https://www.tokyozeirishikai.or.jp/
良い点(相談できる) | 営利目的ではない 相続税に精通した税理士に相談が可能、何度でも相談できる 税理士に申告を依頼したい場合は紹介してもらうことができる |
悪い点(相談できない) | 評価方法などで難易度の高い相談は難しい、 相談できる所要時間は30分程度、節税に関する相談はできない 電話がつながりにくい、相談日の予約が取りにくい場合がある |
2-4.「相続税の節税方法、込み入った相談がしたい」場合は税理士事務所
最終的には有料になる可能性があっても、相続税の節税方法や具体的な計算方法について確実に相談したい方、相続税の申告手続きを税理士に依頼する可能性が高い方は、税理士事務所への相談をお勧めいたします。
税理士事務所は営利目的があるので、敷居が高いと感じられるかもしれませんが、初回相談は無料でおこなっているところが多いです。とはいえ、初回相談では時間も限られ、疑問点をすべて解決できる可能性は少ないですが、税理士事務所であれば、個人的で難解な相談であっても対応が可能です。
また、税理士事務所では、財産の分け方や節税に関する細かなアドバイスまで相談にのってもらえるので、申告を含めた相続全般について、安心できることは間違いないですが、ご相談いただく税理士事務所が相続を専門にしているか、経験豊富な事務所であるか、事前にご確認されることをお勧めいたします。
※税理士の無料相談について詳しくは、こちらを参考にしてください。
良い点(相談できる) | 相続税に精通した税理士に相談可能、節税対策の相談可能 難易度の高い相談が可能 相談の所要時間は1時間~2時間と長い |
悪い点(相談できない) | 営利目的となる 無料では何回も相談することはできない 相続税専門の事務所でなければ経験値が少ない可能性がある |
3.無料相談に行く前に準備すべきこと
無料相談は限られた時間の中での相談となりますので、事前準備次第で内容が大きく変わってきます。時間を有効利用するために、準備しておいたほうがよいことを以下でご説明いたします。
3-1.相談したいことは出来るだけ具体的にまとめておく
相続税について漠然と相談したい方もいるかとは思いますが、限られた時間の中でいくつもの内容を相談することは難しいので、一番何を相談したいのか、内容をまとめて明確にしておきましょう。
相続税に関する初歩的なことであれば、インターネットなど簡単に調べることができますので、事前に知識を得ておくと、相談内容がより充実し、スムーズに進めることができます。
3-2.相続財産の内容・相続人に関することをまとめておく
相続税の計算のもととなる相続財産をできるだけ洗い出しておきましょう。相続財産には、金融資産や不動産などのプラスの財産や、借金などのマイナスの財産があります。金融資産であれば残高の分かるもの、不動産であれば固定資産税納税通知書などを持参されるとよいでしょう。具体的な財産状況を伝えることができると、簡単な試算までしてもらえる可能性もあります。
相続人となるべき方が何人なのかという情報は、相続税の計算をする上で必ず必要となります。どなたが相続人であるかは、法律で定められたルールに基づいて決まっています。正確な相続人を調べるには、亡くなられた方が、生まれてから亡くなられるまでの繋がった戸籍謄本を取得する必要があります。
図2:基礎控除額を上回ると相続税がかかる
図3:相続人は相続できる順番がある
図4:相続人となる方とは
3-3.遺言書や遺産分割協議書があれば持参する
遺言書が残されている、もしくは分割協議が整い、遺産分割協議書をすでに作られている場合には、持参していただくと、申告書の内容を、より正確に確認していくことができます。
もちろん、遺言書がなく、分割協議が整っていない場合でも、相談することは可能です。分割に関することを含めた相続税のご相談であれば、相続税専門で経験豊富な税理士事務所に相談されることが一番お勧めとなります。
※相続税について詳しくは、こちらを参考にしてください。
4.まとめ
相続税の無料相談ができるところは、税務署、役所、税理士会、税理士事務所の4ヶ所です。
無料相談は時間も限られており、納得のいく回答を得られずに終了してしまうことが多いので、事前に相談の目的や、内容を明確にしておく必要があります。
相続税は、財産の評価の仕方や、節税するための特例の使い方など、考え方がとても複雑であり、専門的な知識が必要なため、申告が必要となった場合は、税理士に申告業務を依頼されている方が多いのが現状です。
節税などを考えず、相続財産も預金のみとシンプルな内容であれば、無料相談だけで解決でき、ご自身でも申告書を作成できる可能性はありますが、申告ミスでペナルティになることを考えると、相続税の申告業務は相続専門で経験豊富な税理士に早めにご相談いただき、依頼されることが得策といえます。
信頼できる税理士を見つけるためにも、無料相談を上手に活用していただければと思います。