相続税申告に必要な5種類の添付書類と取得場所【チェックリスト付】

  • 相続税

お父さまが亡くなられて相続税の申告が必要となった場合、どのような資料を準備したら良いのだろうか。

相続税の申告書を提出する必要がある場合、どんな資料を準備しておければよいのか不安になります。

相続税の申告書には、申告内容に沿って多くの「添付書類」を準備する必要があります。この準備は意外と手間がかかりますので、相続税の申告書の作成とともに専門家である税理士へまとめてお願いすることが良いかと思います。ただし、財産の把握や契約書類等、相続人で探さないといけない書類も多くあります。

本記事では、添付書類を5種類に分けて、書類の内容や入手する方法を分かりやすくご説明します。
2章にチェックリストを添付しますので、ダウンロードして印刷してご活用ください。

目次

1.相続税申告の添付書類を5種類で考える

相続税の申告が必要な場合には、全員が必要となる「①. 相続人のマイナンバー」「②. 相続人の関係性」「③. 財産の分け方」の3種類と、申請内容に応じて変わる「④. 財産の残高・評価」「⑤. 相続税の特例の適用」の2種類の計5種類に分けられます。

相続税の申告内容によって添付する書類が異なりますが、必要な書類を確認して忘れずに添付します。
2章のチェックリストをダウンロードして、不明な部分については、各章でご説明をしていますので、確認しながら書類の準備を進めましょう。

ただし、多くの場合には相続税の申告と一緒に必要書類の準備も税理士へ依頼します。
税理士費用を安くするためにご自身で添付書類を準備される場合にもありますが、非常に手間もかかりますので、本記事を読んでいただきあらためてご自身で進めるべきか依頼すべきかも検討されることをおススメします。

2.【チェックリスト】相続税の申告に必要な添付書類

相続税の申告に必要な添付書類のチェックリストです。

こちらをクリックしてダウンロードしましょう。
相続税申告添付書類チェックリスト

3.申告に必ず必要となる添付書類(①~③)

【相続税の申告書に必ず必要な添付書類】
①. 相続人の方がどんな方なのかを示す「マイナンバー」
②. 相続人が本当に相続人かどうかを証明する「関係性」
③. 相続財産をどのようにわけるのかを明確にする「財産の分け方」

重複して書類の提出が必要な場合は、もちろん重ねて提出する必要はありませんので、1部のみで問題ありません。

3-1.「①. 相続人のマイナンバー」に関する添付書類

相続税申告書にはマイナンバー(個人番号)を記載する必要がありますが、記載されたマイナンバーが正しいことを証明するために「相続人のマイナンバー」に関する添付書類も必要となります。

マイナンバーに関する書類は、
・マイナンバー(12桁)を確認できる書類(通知カードなど)
・マイナンバーの持ち主であることを証明する書類(免許証など
の2種類が必要です。

ただし、マイナンバーカードを持っている場合には、それだけでマイナンバーと身元確認が可能となるためマイナンバーカードの写しだけを添付します。また、税務署の窓口で相続税の申告書を提出する場合には、ご自身の本人確認書類の写しは添付せずその場で提示するだけでも構いません。

表1:マイナンバーの記載に伴う本人確認書類について

※マイナンバーについて詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

図1:マイナンバーカードとは

3-2.「②. 相続人の関係性」を明らかにする添付書類

亡くなられた方から見て本来の相続人が誰なのか明確にする必要があります。また、相続人が他にいないことも証明をする必要があります。この2つのことを証明するためには、亡くなられた方の戸籍謄本をすべて揃えて添付書類として提出する必要があります。また相続人の方の現在の戸籍情報も添付書類として提出が必要です。

このあと詳しくは説明しますが、戸籍謄本の代わりに「法定相続情報一覧図の写し」を添付してもよいことになりましたので、戸籍謄本の代わりに利用する場合があります。また、戸籍謄本は原本を提出する決まりになっていましたが、法改正により平成30年4月1日以降の申告については「写し」でも構わないことになりました。

表2:相続税申告に必要な「関係性」を証する書類

<亡くなられた方の出生から死亡までの「戸籍謄本一式」>

亡くなられた方の「戸籍謄本一式」を揃えます。これによりすべての戸籍謄本の内容を確認することで、相続人が誰になるのかが明確になります。

戸籍一式の準備については、まずは現在の戸籍謄本を取得して内容を確認します。主には引っ越しや結婚などを機に本籍地を変更すると、戸籍謄本に転籍事項が書かれています。転籍前の戸籍謄本がどこにあるのかがわかればそれを取り寄せます。これを出生まで繰り返して、生まれた時に作られた戸籍謄本から、亡くなられた時の戸籍謄本まですべてが繋がっている状態を作ります。

戸籍謄本が1枚で終わる方はほとんどいないため、戸籍の内容を理解したり、戸籍法が改正される前の戸籍謄本だとさらにわかりづらかったりと、戸籍謄本を揃えるだけでかなり手間がかかり、苦労します。

<相続人全員の「現在の戸籍」>

相続人全員の現在の戸籍謄本を揃えます。
現在の戸籍謄本とは最新の戸籍謄本のことですので、現在の本籍地で手続きをします。
可能な限り、亡くなられた日付以降に取得した最新の戸籍を添付することをおススメします。

<戸籍一式と同じ意味をもつ「法定相続一覧図の写し」>

不動産の名義変更(相続登記)や金融機関における相続手続きが必要な場合には、法務局にて「法定相続情報証明制度」を利用して法定相続情報一覧図を取得して添付します。

戸籍に基づいて法定相続人が誰であるかを登記官が証明する制度です。法定相続一覧図の写しは、無料で何通でも取得してよいため、相続の手続きを効率よく同時に進めることができとても便利な書類です。

※法定相続情報一覧図について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

図2:法定相続一覧図の写しの例(法務省ホームページより抜粋)

3-3. 「③. 財産の分け方」に関する添付書類

亡くなられた方の相続財産を、誰がどのような割合で引き継ぐかを明らかにした書類を添付します。

【遺言書がある場合】
亡くなられた方の意思を尊重するため遺言書に沿って相続財産を分割するため、遺言書を添付します。

【遺言書がない場合 or相続人で話し合いをして遺言書とは違う分け方にする場合】
相続人全員で遺産分割協議という話し合いを行い、同意した内容を遺産分割協議書という書面にまとめます。この際に法律で定められた割合である法定相続分で分割する場合には遺産分割協議書の作成も添付も必要はありません。

※遺産分割協議について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

表3:財産の「分け方」に関する書類

<「遺言書」または「遺産分割協議書」>

財産の分け方を明確にする書類として、遺言書または遺産分割協議書も添付します。

遺言書がある場合、自筆証書遺言書であれば亡くなられた方のご自宅に保管されていることが多いです。万が一、封がされていない状態で見つかったとしても、家庭裁判所の検認の手続きが必要となりますので速やかに申請をします。

一方で、公正証書遺言書であれば検認のお手続きは必要ありません。これらの遺言書を財産の分け方を記した書類として添付することになります。

遺産分割協議書を作成する場合には、法律で定められた書式はありませんので、財産の内容が特定できて誰が財産を引き継ぐのかが明確に記載されていれば問題ありません。ただし、遺産分割協議には相続人全員が参加することが必須であり、遺産分割協議書を作成した後には必ず相続人全員の自署と実印の押印が必要とされています。全員の自署と実印があることで、合意したことを示します。

なお、遺言書または遺産分割協議書は写しで構いません。

図3:遺産分割協議書の例

<すべてを同意した証となる「印鑑証明書」>

遺産分割協議書に押印した実印の印鑑証明の原本の添付が必要となります。印鑑証明は、相続人が住んでいる市区町村に届けている印鑑で、印鑑登録カードに登録された印鑑となります。もし、実印登録をされていない場合には速やかに登録が必要となります。遺言書がある場合や、相続人が1人だけの場合には印鑑証明書の添付は必要ありませんが、相続税を減額する特例の適用を受ける場合には添付が求められます。

※印鑑証明書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

<未分割の場合は忘れずに「申告期限後3年以内の分割見込書」>

相続税の申告期限までに財産の分割内容が決まらなかった場合には「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付する必要があります。未分割の財産を申告書の提出期限から3年以内に分割し、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例の適用を受ける意向である旨を明記しておく書類です。

4.「④. 財産の内容に応じた残高・評価」に関する添付書類

財産がどれくらいあるかを申告するため、評価額の根拠となった資料をすべて添付します。
債務がある場合には、債務に関する書類も揃えて添付します。

4-1.不動産以外の財産内容を証明する書類

動産以外の財産がある場合には、財産の内容を証明するため次の表に基づいた書類を添付します。主には預貯金、有価証券・保険・退職金などがあげられます。

預貯金は通帳の記帳内容から残高が明らかな場合を除き、金融機関の窓口で取得した残高証明書を取得して添付書類として提出します。保険や退職金は、支払額が確定した時点で手続きをすることで支払調書や解約返戻金証明書といった書類が送られてきますので、こちらを添付書類として提出します。有価証券は、証券会社から保有状況を取り寄せて評価額を計算して求めますので、その根拠となる書類とともに添付書類として提出します。

なお、添付書類はすべて写しで構いません。

表4:財産における評価額の根拠となる書類の例

4-2.不動産の評価内容を証明する書類

不動産がある場合には、評価額そのものを証明する書類というよりは、評価するために集めた書類を評価の根拠として添付します。法務局や市区町村役場で不動産に関わる書類を集めることになりますが、手間はかかりますが、取得方法はさほど難しくはありません。なお、添付する書類は写しで構いません。

表5:不動産の評価に関する書類

※不動産の相続税について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

4-3.負債内容を証明する書類

亡くなられた方の借金など負債がある場合には、債務内容やその金額を証明する書類の添付が必要です。債務あるいは未払いの税金、葬儀費用、亡くなられた日以後の医療費分は相続財産から差し引くことができます。葬儀費用に関しては、領収書がないものもありますので、お寺の名前や支払日、名目等を記したメモを残しておき、添付します。

表6:負債に関する書類の例

5.「5. 相続税の特例の適用」に関する添付書類

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して相続税を減額できる場合がありますが、このような特例を利用する場合は申告書に記載の上、特例が適用できる条件を満たすことを証明する添付書類が必要です。

特例の適用により相続税がゼロ円になる場合には、相続税の申告が必要ですので注意しましょう。
また、特例については、配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例、贈与税額控除以外にもあります。適用する特例によって添付が必要となる書類は異なります。
ここでの添付書類は、写しで構いません。

表7:特例の適用に関する書類の例

5-1.配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減の適用を受ける場合の添付書類には、追加の書類は必要ありません。2章でご説明した「必ず必要となる書類」が添付されていれば、配偶者の方の身分を証する書類、亡くなられた方との関係性を証する書類、財産の分け方を証する書類が含まれます。

※配偶者の税額軽減について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

5-2.小規模宅地等の特例

配偶者や同居の親族の方が小規模宅地等の特例の適用を受ける場合の添付書類には、2章でご説明した「必ず提出が必要となる書類」一式に加えて、同居していたことを証明するための「住民票の写し」の添付が必要となります。

※小規模宅地等の特例について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

また、次の2つのケースの場合、それぞれ追加で必要となる書類があります。

5-2-1.家なき子の方が引き継ぐ場合

相続時に持ち家を持たない方を「家なき子」といいますが、現在のご自宅が賃貸の場合には「賃貸借契約書の写し」、賃貸ではない場合には現在住んでいる家の「登記簿謄本」の添付が必要となります。

同居をしていない親族が家なき子の適用をうけるには、相続開始前3年以内にご自身または配偶者の方の持ち家に居住したことがないなどの一定の要件を満たす必要があることから、条件に該当していることを明確にする添付書類が必要となります。

5-2-2.亡くなられた方が老人ホームに入所していた場合

亡くなられた方が老人ホームへ入居されていた場合、小規模宅地等の特例を適用するには亡くなられた方の戸籍謄本の附票、老人ホーム入居契約書類、介護保険の被保険者証を添付する必要があります。

老人ホームに入居されていた方に小規模宅地等の特例を適用するには、亡くなられた方が老人ホームに入居する前に住んでいた場所で現在は空き家になっている、もしくは入居前から生計を共にしていた相続人が今もずっと住んでいる、などの要件を満たしている必要があります。

5-3.3年以内に贈与税を支払っている方

亡くなられた方が3年以内に贈与した財産に対して贈与税を支払っていた場合には、その贈与税の申告書や贈与契約書を添付します。亡くなられる3年前までに贈与された財産は、相続財産として計算する必要があるため、贈与税を支払った財産に対してさらに相続税を支払うことになります。これを防ぐために3年以内の贈与に対して支払った贈与税は控除されることになります。

※贈与税額控除について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

5-4.相続時精算課税制度を利用していた場合

相続時精算課税制度の利用により生前贈与を受けた方がいた場合、2章の「必ず必要となる書類」に加えて、「亡くなられた方の戸籍謄本の附票」と「相続時精算課税適用者の戸籍謄本の附票」の書類を添付する必要があります。なお、附票は相続開始の日以後に作成されたものを添付します。

※相続時精算課税制度について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

6.10ヶ月以内にすべての書類を準備して申告と納税が必要

相続税の申告と納税は、亡くなられたことを知った日の翌日から10ヶ月以内におこなう必要があります。期限内容に亡くなられた方の最後の住所地を管轄している税務署へ申告書を提出し、金融機関等を通じて納税をします。そのため、相続税の申告書に添付が必要な書類も10ヶ月以内に揃えて、申告書と一緒に税務署への届け出または郵送することになります。

6-1.取得までには時間を要するので余裕をもって準備しよう

相続税の申告は、専門家である税理士に依頼していることが多いのですが、申告に必要な書類の準備はご自身で対応するように契約をすることもあります。取得までには専門家が対応してもある程度の期間を要しますので早めに着手しましょう。

添付書類には写しで良いものも多くありますので、チェックリストを利用して効果的に収集しましょう。市区町村で取得する書類については、遠方である場合には郵送による取得も可能となっていますが時間を要しますので注意が必要です。

6-2.万が一期日までに準備できない場合の対処法

万が一、期日までに添付書類が揃わない場合はどうしたらよいのでしょうか。添付書類の準備ができなくても相続税の申告は必ず期限内におこないます。期限内に申告ができなかった場合、別途ペナルティが発生し追加の税金を支払う必要があります。

添付書類は後日、必ず提出する旨を伝える、もしくはメモ書きを添える等の対処を忘れずに行い、早めに提出して頂ければと思います。

※相続税の申告納付期限について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

7.まとめ

相続税の申告書に添付する必要書類についてご理解いただけましたでしょうか。相続税の申告とセットで税理士へ必要書類の準備も依頼してしまうことが最適です。しかし、場合によってご自身で揃える場合には、本記事を参考に依頼した税理士に必要書類を確認して準備を進めましょう。

市区町村等で準備する書類については、郵送で何か所もの窓口とやり取りが必要となることもありますので申告期限ギリギリに準備を始めると到底期限内に揃えることができません。申告期限の10ヶ月を意識しながら、余裕を持って準備を進めていただければと思います。

最後に、本記事を読んでいただき自分で揃えるのが難しいと感じられた方は、専門家であっても郵送でのやり取りにはある程度の時間を必要とすることから、1日でも早く相続税を専門としている税理士へ相談して、書類についてもお願いをしましょう。

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