自宅で発見した高額な現金の相続税が心配?隠す必要がない理由とは

  • 相続税

先日主人が亡くなり整理をしていたら、なんと現金で2億円を発見した!
これはかなり高額な相続税を支払わなければいけないの??

現金2億円は相当重いし、かさばりますよね。でも自分のものになったらすごいですよね!
1万円札は、1枚0.1mm、100万円で1㎝、1億円で1m。重さにすると1億円は1kgです。

このような形で亡くなられた方の遺産が見つかっても、相続税がかからないこともあります。

現金を発見すると、「税務署にばれないように相続が終わるまで隠しておこう。」などと考えてしまいがちです。しかし、相続ではいろいろな控除や特例がありも組み合わせることで税金を最小限にすることができます。ゼロ円にすることも場合によりすぐにできてしまいます。
 
ぜひ、本記事を参考に手続きを進めてください。

1. 相続税がゼロ円?!自宅で発見した現金も安心して申告! 

財産を相続する際に自宅の金庫や押し入れに現金5,000万円を見つけてしまったら、税金を払いたくないので隠しておきたいと誰もが思うでしょう。しかし、税務署に申告していないことがばれると、大きなペナルティを課せられます。
相続税の申告は必ずおこなうことを強くお勧めしますが、税金で大半をもっていかれないか心配の方は、こちらの2つの軽減措置を理解して、安心して申告の話を進めましょう。

【相続税の考え方】
(1)相続税の基礎控除(非課税枠)内であれば、納税額はゼロ円
(2)(1)以上で、配偶者のみが相続するなら「配偶者の税額軽減」で納税額はゼロ円
(3)(1)以上で複数名が相続する場合、法定相続分どおりなら配偶者の相続税部分はゼロ円
(4)(1)以上で複数名が相続する場合、法定相続分以上に配偶者が相続するなら1億6千万円までは相続税がゼロ円

これらの考え方を取り入れると、相続税の納税額は大きく軽減されます。相続人が奥様だけであれば、相続税はゼロです!現金を見つけた場合にも、正しく申告して、安心して相続しましょう!

※贈与税の未申告について詳しくは、こちらを参考にしてください。

1-1.配偶者だけが相続人の場合、相続税は常にゼロ円!

 ※詳細は3章で説明

<前提条件>
 相続人:配偶者一人
 相続財産:2億円
 配偶者の法定相続分:100%

<相続税の考え方>
 ⇒ 配偶者の相続額 2億円
 ⇒ 配偶者の税額軽減を適用した納税額 0円
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以上より、2億円の財産は非課税となるため、隠す必要は全くないのです
ただし、申告は必要となるため注意しましょう。

1-2.配偶者とお子さん二人の場合も、配偶者の相続税はゼロ円

 ※詳細は2章・3章で説明

<前提条件>
相続人:配偶者一人、お子さん二人
相続財産:2億円
配偶者の法定相続分:50%
お子さんの法定相続分:25%ずつ

<相続税の考え方>

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よって相続税の課税対象(税金計算の対象)は、

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【相続税の計算】

①受け取る財産に関係なく、相続税を計算します。
<課税対象>
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以上から、

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※今回のケースでは、法廷相続分に応じて財産を分けるとすると、

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以上から、お子さん2人は675万円ずつの納税が必要となりますが、配偶者はゼロ円となります。

ペナルティがあることを考えると、相続財産2億円のうち1,350万円(675万円×2)の納税は、期限までにおこなった方が得策です。
また、このケースで、すべての財産を配偶者の方が相続すると、配偶者の税額軽減で540万円※となります。
※2,700万円×(1億6,000万円÷2億円)=2,160万円
 2,700万円-2,160万円=540万円

しかし、配偶者の方が亡くなった際の相続時(二次相続)に、お子さんの納税額が今回の納税額以上になってしまうため、この点は今回しっかり納税した方が後にお得となります。

2.基礎控除額以下なら相続税がゼロ円!

相続税には、基礎控除という非課税枠があります。財産がこの非課税枠内の場合には、相続税は全くかかりません。自宅に現金を発見した場合など、まずはこの式に当てはめて相続の対象となるかどうか、確認をしましょう。

図1:相続税の基礎控除の計算式
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3.相続税の対象となる現金に関するQ&A

3-1.現金はいくらから相続税の申告が必要?

相続税を考える場合には、いずれかの財産の財産額がわかっただけでは計算ができません。
つまり「現金5,000万円の場合は、相続税がいくらになる?」といったご質問があったとしても、「相続する財産の総額が分からないと相続税の計算ができません」という回答になります。

2章でご説明したとおり、相続税の申告は財産の総額が基礎控除額を超えた場合に必要となります。

3-2.相続税の対象となる現金の税率は?

相続税の税率は、相続財産の総額を確定させ、その財産の相続人と相続割合が決まると必然的に決まります
よって、相続する現金の金額だけを基に相続税の税率を決めことはできません。

3-3.相続税の申告時に自宅で見つけた現金はばれない?

自宅で見つけた現金であれば、通帳から引き出したわけでもないので税務署にバレないと考えがちです。お財布に入ってる現金やタンス等に残っている数万円程度であれば、亡くなられた時点で残っていたのか利用としたのか分かりませんのでばれることはないでしょう。

しかし、タンス預金のように仮に1,000万円とか5,000万円だった場合はどうでしょうか。
このような場合には、ばれると考えた方がいいでしょう。収入と支出のバランス等から相続財産が大きく下回ると判断された場合に税務調査の対象となります。税務調査の対象となるとほとんどのケースでばれますので、追徴となります。この場合に意図的に隠したと判定されると、とても高い税率のペナルティを支払うことになります。

※相続税の税務調査について詳しくは、こちらを参考にしてください。

※相続税のペナルティについて詳しくは、こちらを参考にしてください。

※タンス預金について詳しくは、こちらを参考にしてください。

3-4.相続税の申告後に「現金が見つかった」ときの対処法

相続税の申告をする前に発見したのであれば、相続税の申告に入れよう。と思っていただけたと思いますが、申告をした後に見つけてしまった場合はどうすれば良いでしょうか。

この場合は、速やかに「修正申告」をしましょう。相続税の申告を正しい数値に直して再度提出をすることになります。自ら「修正申告」を提出した際には、大きなペナルティは無く、一部納税の遅延分について税金が発生する程度で済みます。

4.安心して申告できる特例「配偶者の税額軽減」

相続をする際には法定相続人という法律で定められた相続の対象者がいます。この法定相続人の対象は家族構成により変わりますし、相続できる財産の割合も変わってきます。ただし、この法定相続人は無条件で相続を受ける権利を得ることができます。この考え方と「配偶者の税額軽減」の考え方を組み合わせて、最大限に相続税額を抑えていきます

※配偶者の税額軽減について詳しくは、こちらを参考にしてください。

4-1.配偶者がいる場合の法定相続分の考え方

配偶者がいる場合の法定相続分は次のようになります。

①相続人が配偶者のみの場合⇒ 配偶者:100%
②相続人が配偶者と子どもの場合⇒ 配偶者:2分の1 子ども:2分の1
③相続人が配偶者と父母の場合⇒ 配偶者:3分の2 父母:3分の1
④相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合⇒ 配偶者:4分の3 兄弟姉妹:4分の1

図2:配偶者がいる場合の法定相続分の考え方
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4-2.相続人が配偶者だけであれば、2億円の財産も非課税に

相続する方が配偶者のみの場合、相続財産の100%が非課税となります。この制度を「配偶者の税額軽減」と呼びます。相続の際に配偶者が法定相続分以内の財産を相続したのであれば財産額に関係なく非課税という仕組みがあります。

配偶者とは、法律上で婚姻関係にある方のことで、ご主人や奥様のことをいいます。夫婦は日ごろからお互いに助けあいながら生活をしており、お互いの財産の形成に大きな役割をもっています。仮に2億円のご主人の財産を奥様が相続する場合、その2億円の財産の形成に奥様が相当なご尽力をされたと想定できます。よって奥様の老後の生活などを考慮して優遇処置がとられています。

以上から、相続する方が奥さんだけであれば、例え2億円の現金を相続することになっても相続税はゼロ円ですから安心です。

4-3.法定相続分より多く相続する場合の対処法(相続人が二人以上)

「配偶者の税額軽減」には、配偶者が受け取る相続財産の金額が法定相続分を超えたとしても、その相続財産が1億6千万円を超えなければ、この場合も配偶者に対する相続税はかからないという決まりがあります。よって、一般的な方であれば、配偶者が受け取る相続財産の金額が1億6千万円を超えないと考えられますので、配偶者には相続税はかかりません。もし、1億6千万円を超えてくるようであれば超えた分について相続税の計算をしていきます。

(ポイント)
配偶者が受け取る相続財産の金額が、次のどちらか多い金額までは相続税がかかりません。

(1)1億6千万円
(2)配偶者の法定相続分

図3:配偶者の税額軽減の考え方
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4-4.配偶者の税額軽減を受けるには申告が必須

基礎控除額という相続税の非課税枠を超える場合には、たとえ納税額がゼロ円であっても申告が必要です。基礎控除額内であれば、全員が非課税となり相続税の計算も不要ですし、申告も不要です。また配偶者の税額軽減の処置についても考える必要はありません。

基礎控除額の枠を超えた財産を相続する場合には、必ず申告をしましょう。
申告は、亡くなった方の住所地の税務署に提出することになります。

【相続税申告書に添付する書類の具体例】
・戸籍謄本
・遺言書の写し
・遺産分割協議書の写し
・印鑑証明書

5.まとめ

ご主人やご両親が亡くなった後に、整理をしていると自宅の金庫や押し入れに現金5,000万円を見つけたらびっくりしますよね。

そして、誰もが税金が頭をよぎり、こっそり隠したくなりますよね。

今回、知っていただいた配偶者の税額軽減などを最大限に活用して、税金を押さえた形で必ず申告をしましょう。しっかりとルールにのっとり申告しておければ、税務調査やペナルティなど心配が亡くなります。

また、しっかり相続をしておけば、その後に贈与税の非課税枠を利用して、税金をゼロ円のまま皆さんに分配することも可能となります。

正しいルールで申告し、財産を遺してくれた方の遺志を大切にしましょう。

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