【エンディングノートの書き方】書いておきたい7項目と3つの注意点

  • 相続手続き

「まさか自分が、と思っていたが大病を患って入院した。病床で先のことが不安になり、特に妻や子供たちのことを思うと、万が一の対策はやはり必要なんだ・・・と改めて感じた。幸い元気になれた今、家族が困らないように財産のことを含め、自分のことをきちんと整理しておきたい。エンディングノートを書いておこうと考えている。」

いつまでも健康で家族のそばにいたい!だれもが願うことですが、年を重ね、病の経験などをすると、自分の将来や残される家族のことがとても心配になってきます。何かあってからでは十分な対応ができないかもしれませんね。終活をすることは大事なことだと分かっていても、前向きな気持ちになりづらく、家族からも何となく避けたい雰囲気を感じてしまい、話す機会を逃して、先延ばしにしてしまいがちです。

このような方には「エンディングノート」を作ることをお勧めいたします。遺言書より気軽に、費用などもかけずに、直ぐに終活を始めることができます。

本記事では、ご自身でエンディングノートを作りたいというお気持ちの方に、書くポイントと注意すべき点をお伝えいたします。オリジナルのエンディングノートをダウンロードしていただくこともできますので、ぜひ読み進めていただければと思います。

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1.エンディングノートの書き方は自由

エンディングノートとは、もしものことが起きたときに、大切なご家族に困らないように伝えておきたいことをまとめたものです。

遺言書は、「亡くなられた後のことについて、主に財産の分け方などに関するご自身の思いを書き記しておくもの」ですが、エンディングノートは、「ご自身のこれまでの人生、そしてこれからの人生について考えた思いを自由に書き記すもの」です。

もしも寝たきりになってしまったら、その先の看護のことや身の回りのことを、どのようにしてもらいたいとご自身が考えているのか、元気なときは伝えづらいことも、エンディングノートであれば、自由に書き留めておくことができるのです。

エンディングノートに強制力はありませんが、大事なことをきちんと引き継ぐための重要な役割を担ってくれます。また、日常の大事なことの備忘録として活用できる利点もあります。財産に関することをまとめておけば、相続を考えるきっかけにもなり、効果的な相続対策ができるかもしれませんね。

書き方に法的な決まりはありません。市販されているものを利用してもよいですし、ご自身でパソコンを使って作成しても構いません。あまり気負わずに、書きたいことから始めていただければと思います。

図1:エンディングノートは自分のこと・自分の思いを伝えるノート

2.【おススメ】エンディングノートに書いておきたい7項目

いざエンディングノートを書いてみよう!と思っても、どんな内容で書き始めればよいのだろう?と迷われてしまうかもしれませんね。書く内容、順番に決まりはありません。まずは「ご自身のこと」から書き始めてみてください。書きたいことが、どんどん浮かんでくるのではないでしょうか。

この章では、記載項目として特にお勧めする内容を、7つに分けて詳しくご説明いたします。また、アセットキャンパスオリジナルのエンディングノートを以下のフォームより、必要事項を入力の上、ダウンロード(無料)していただくことができます。ぜひご利用ください。

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2-1.自分自身について

まず初めに、自分史を書くイメージで、今までのことについて振り返ってみましょう。ご自身の経歴、ご家族のこと、趣味や特技として打ち込んでいるもの、心に残っている出来事や思い出などです。お気に入りの写真を貼っておくのもおススメです。

 ・氏名
 ・生年月日
 ・住所
 ・本籍
 ・家族構成
 ・学歴
 ・職歴
 ・趣味・特技
 ・大切な思い出 ・・・など

図2:自分自身について

2-2.身の回りのことについて

パソコンや、よく利用しているWebサイトのログインID・パスワードなどをまとめて記載しておくと便利です。もしものときに、ご家族がご自身に変わって解約などの手続きをする際に役立つ内容です。

また、運転免許証・パスポート・健康保険証などの情報をまとめておくのもよいでしょう。

ペットを飼われている方は、ペットが好きな食べ物や遊び、予防接種のこと、万が一に備えて、ペットを託したい方のことなどを記載しておきましょう。

 ・パソコンのログインIDとパスワード
 ・よく利用するWebサイトのログイン情報
 ・運転免許証、パスポート、健康保険証について
 ・ペットについて                ・・・など

図3:パソコンのログイン情報などはまとめておくと便利

2-3.介護や医療の希望について

万が一、認知症などで判断能力が低下してしまったときには、どのような看護を望んでいるのか、また、完治が望めない重い病におかされてしまった場合の治療の進め方に関し、ご自身が望んでいることを記載しておきます。

実際に、病名を告知されたご家族が本人に伝えるべきかどうか、思い悩んでしまうケースは少なくありません。延命治療についても同様で、ご家族が判断するのは苦渋の選択となります。そのようなとき、エンディングノートにご自身の気持ちを書き留めてあれば、悲しい選択を迫られたご家族も前を向くことができるかもしれませんね。

 ・介護が必要となったときについて
 ・かかりつけの医療機関について
 ・病名の告知について
 ・延命治療について
 ・臓器提供について        ・・・など

図4:介護や延命治療について

図5:ご自身の正直な思いを書き留めておく

2-4.葬儀について

最近は事前に葬儀社を決めておかれる方も多くいらっしゃいます。万が一のとき、深い悲しみの中で、ご家族が慌ててしまうことがないよう、あらかじめご自身で決められた内容をご家族に理解してもらうために、葬儀に関する詳細を記載しておくとよいでしょう。ご家族の負担を少しでも軽減できると思います。

その後の祭祀継承に関することも、どのように先祖のお墓を守っていってほしいと思っているか、明記しておくとよいでしょう。

 ・葬儀について
 ・喪主を務めてほしい方
 ・遺影に使ってほしい写真
 ・お墓について
 ・納骨の方法
 ・連絡してほしい人について   ・・・など

図6:どのような葬儀を望んでいるのか

2-5.財産について

財産の内容を一覧にまとめておくと、いざというときの手続きをご家族が円滑に進めることができます。遺言書を別途作成されている場合には、そのことも明記しておくと安心ですね。

財産の内容を記載する前に、お手元に以下のような書類を準備しておくと、スムーズに書き進めることができます。

 ・不動産 :登記簿謄本(全部事項証明書)、権利証、固定資産税納税通知書
 ・預貯金 :通帳、キャッシュカード
 ・有価証券 :定期的に郵送されてくる取引報告書
 ・その他の資産(貴金属・宝飾品・ゴルフ会員権・クレジットカード) :鑑定書、会員証書
 ・生命保険、年金など :契約書、年金手帳
 ・負債 :契約書類                       ・・・など

財産は、日々変動する可能性がありますが、今の時点の状況を出来る限り詳しく書いておきましょう。将来の相続を想定し、相続税がかかるかどうかという観点でまとめてみるとよいでしょう。相続税対策は、早めに実効することで、大きな効果につながります。

また、借入金やローンの残債がある場合も、必ず明記しておきましょう。相続の際、負債が大きい場合には、ご家族がトラブルに巻き込まれる前に、速やかに相続放棄の判断をすることができます。

※相続税について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

図7:財産の内容を把握する

図8:財産の内容をできるだけ詳細に記載する

2-6.家族へのメッセージ

ご家族や友人、お世話になっている方にむけて、日頃、なかなか伝えられない感謝の思い、大切な思い出なども綴っておくとよいでしょう。ご自身のことがすべて綴られたエンディングノートの存在が、大切なご家族を幸せな気持ちに導いてくれると嬉しいですね。

図9:ご家族へのメッセージ

2-7.親戚・友人の連絡先

ご自身の交流関係について、ご家族の方が、実は把握されていないことはよくあることです。とても親しい間柄でご自身に万が一の事態が迫ったときには一目会いたい、葬儀には参列してほしい、もしくは訃報だけでも送ってほしいなど、希望していることがあれば書き留めておきましょう。

3.エンディングノートの3つの注意点

エンディングノートはご自身の大切な情報を記載するものです。個人情報の取り扱いには、十分に気を付けなくてはなりません。

3-1.悪用されないために!暗証番号は記載しない

銀行口座やクレジットカードの暗証番号などは絶対に記載しないようにしましょう。万が一、エンディングノートを紛失してしまった場合、情報が洩れて、不正に利用されてしまう恐れがあります。通帳やキャッシュカード、銀行印などをエンディングノートと一緒に保管することは、リスクを伴いますので避けた方がよいでしょう。

3-2.法的な拘束力はない!遺言書の代わりにはならない

エンディングノートには、財産の分け方に関することを記載しておくことはできますが、法的な効力はありません。財産の分け方に関し、ご自身の考えに法的な効力を発生させるためには、遺言書として作成しなければなりません。エンディングノートを遺言書の代わりにすることは法的には難しいでしょう。

エンディングノートは、ご自身の思いをメッセージとして自由に伝えるためのものです。相続に関するご自身の考えを実現させるためには、遺言書も併せて書いておいていただけると確実といえますね。

※遺言書について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)

図10:法的な効力を持たせるためには遺言書を書く

3-3.見つけてもらえなければ意味がない!エンディングノートの保管場所

エンディングノートをせっかく書いておいても、いざというときに見つけてもらえなければ意味がありませんよね。大切な財産の情報や、個人情報が記載されたものなので、保管場所は慎重に決めてください。あまり人目につかない、かつ、もしものときに見つけてもらいやすい場所を選んでおきましょう。エンディングノートの存在と保管場所を、ご家族などの身近な方に伝えておくことも大切です。

4.エンディングノートは気軽な気持ちで書き始めよう

エンディングノートは、人生の最期を迎えるための準備として、高齢の方が書くイメージがありますが、決してエンディングのためだけのものではありません。若い方でも、自分自身が歩んでいる人生を振り返り、心の中にある素直な思い、大切な方との関係性、将来の理想とする自分など、様々なことを考えながら、自分史を作っていくイメージで書いてみてはいかがでしょうか。

4-1.書きやすい項目から書き始めればよい

エンディングノートは、書きやすい項目から書き始めればよいのです。一度にすべての項目を書かなくても構いません。今の時点であまり考えたくない内容は、気持ちが明確になったときに書けばよいのです。

エンディングノートを堅苦しく考える必要はありませんので、ご自身で書きたい項目を選択していただければと思います。

4-2.何度でも書き直すことができる

エンディングノートは気が向いたときに書けるところから書いて、徐々に書き足していけばよいでしょう。ご自身の思いが変わったときはいつでも、何度でも書き直すことが出来ます。一度書いて終わり、というものではありません。定期的に内容を見直されることをお勧めいたします。

5.まとめ

エンィングノートの内容や書き方に決まりはないので、ご自身の思いを自由に書いていただければと思います。これから先の人生において、ご自身のために大切なご家族が苦渋の選択を迫られたとき、また、もしものときに備えて、ご自身の考え、素直な思いを共有できるようにしておきましょう。エンディングノートは、ご家族の負担を減らすための記録でもあるのです。

エンディングノートに法的な効力はありませんので、相続に関する財産の分け方などを、ご自身の強い希望がある場合は、遺言書の作成を検討しましょう。

エンディングノートをいざ書こうと思うと、少し面倒な気持ちになるかもしれません。すべてを一度に書く必要はありません。ご自身が書きたい項目からゆっくりと気負わずに、ご自身のペースで書き進めていきましょう。ご自身の思いを整理しておくことは、家族を守る大きな安心につながっていくでしょう。

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