市街地農地の評価をするとき宅地造成費は重要!宅地造成費の計算例

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「お父さんから譲り受けた市街地にある農地を評価したい。宅地造成費の計算方法はどのようにすればいいのか?」

土地評価の試算をする際、宅地造成費の計算方法をお調べかと思います。

宅地造成費とは、現在の土地が宅地として利用されるために必要な工事費用を指します。

市街地農地や市街地山林、市街地原野など、宅地ではない土地の評価を求める際には、通常宅地比準方式が使用されます。宅地比準方式では、仮にその土地が宅地であると仮定した場合の評価額から宅地造成費を差し引いて評価額を計算します。
本記事では、宅地比準方式における宅地造成費の計算方法について詳しく説明します。市街地農地や市街地山林など、相続税評価を行う際には、宅地造成費の計算が重要です。ぜひ本記事を参考にしてください。

 

1.宅地造成費を正しく計算することで節税できる!

宅地造成費は、宅地ではない土地を宅地化する際、発生する工事費用を算定したものです。

市街地の農地や山林、原野の相続税評価額を求める際、宅地比準方式で計算します。宅地比準方式は、(土地が宅地である時の1㎡の価格-1㎡あたりの宅地造成費)×土地の面積で求めます。相続税がかかる場合、宅地造成費を正確に計算することで節税することができます。

2.平坦地の宅地造成費

宅地造成費は、国税庁のホームページの財産評価基準書路線価図・評価倍率表に記載があり、地域によって金額が多少異なります。
平坦地の宅地造成費は、「整地費」「伐採抜根費」「地盤改良費」「土盛費」「土止費」の5つの項目があります。

表1は国税庁のホームページ財産評価基準書路線価・評価倍率表 令和5年分東京より抜粋したものです。
表1:平坦地の宅地造成費

整地費 整地費 整地を必要する面積1平方メートル当たり                                      800円
伐採・抜根費 伐採・抜根を必要とする面1平方メートル当たり 1,000円
地盤改良費 地盤改良を必要とする面積1平方メートル当たり 1,800円
土盛費 他から土砂を搬入して土盛りを必要とする場合の土盛り体積1立方メートル当たり 7,400円
土止費 土止めを必要とする場合の擁壁の面積1平方メートル当たり 77,900円

国税庁のホームページ財産評価基準書路線価・評価倍率表 令和5年分東京より抜粋

2-1.整地費

凹凸のある土地を平らにし、家を建てるのに適する地面に整えるための費用です。土盛工事を行った後の地ならしする費用も含みます。

2-2.伐採・抜根費

土地に樹木がある場合、樹木を伐採し、根を抜くのにかかる工事費です。
樹木がまだ細く整地に際してブルドーザーで撤去できる場合は伐採抜根費には含めません。2-1の整地費とします。

2-3.地盤改良費

田んぼや埋め立て地、以前沼や川だった場所は地盤が弱く、そのまま建物を建てると将来傾いてしまう可能性があります。そのため、セメントなどで固めたり、建物を支える柱状改良や杭を入れる地盤改良をします。

2-4.土盛費

土地が道路より低いと大雨や台風により水が流れ込み、土地が水没したり建物が浸水したりします。土盛費とは、道路より低い土地を宅地として使用できるように、道路面の高さまで、土砂で埋め立てて地上げする工事費です。

2-5.土止費

土盛りして地上げした時に、土盛りした土砂の流出や崩壊を防止するために擁壁工事する費用です。

3.傾斜地の宅地造成費

傾斜地とは、傾斜度が3度を超える土地です。傾斜地の宅地造成費は、斜度によって宅地造成費の工事費用単価が決まっています。傾斜地の宅地造成費は、伐採・抜根費は含まれていませんが、整地費、土盛費、土止費は含まれているので、伐採・抜根費以外は別途加算しません。

計算式1:傾斜地の宅地造成費
傾斜地の宅地造成費 = 斜度に応じた宅地造成費 + 伐採・抜根費

表2は国税庁のホームページ財産評価基準書路線価図・評価倍率表 令和5年分東京都より抜粋したものです。
表2:傾斜地の宅地造成費

傾斜度 金額
3度超  5度以下     20,300円/㎡
5度超 10度以下 24,700円/㎡
10度超 15度以下 37,600円/㎡
15度超 20度以下 52,700円/㎡
20度超 25度以下 58,400円/㎡
25度超 30度以下 64,300円/㎡

国税庁のホームページ財産評価基準書路線価図・評価倍率表 令和5年分東京都より抜粋

3-1.傾斜度の測定方法

傾斜度は、評価する土地の最も低い道路面の高さを起点として、奥行の最も長い地点を頂点として判定します。

3-2.市街地農地の評価が純農地を下回る場合

宅地造成費の費用が高くなり、宅地としての価格から宅地造成費を控除すると、評価が最も低い純農地や純山林、純原野の価額を下回ることがあります。その場合は、最も距離が近い純農地や純山林、純原野の評価額で相続税評価します。

4.宅地造成費の計算例

平坦地の宅地造成費と傾斜地の宅地造成費を説明してきました。4章では、それぞれの実際の計算例を用いてご説明します。令和5年分東京都の宅地造成費の金額表を使います。

4-1.平坦地の計算例1

伐採抜根が必要な市街地農地の宅地造成費を求めます。

計算例1)
市街地農地の面積:3,000㎡
伐採抜根面積  :1,500㎡

整地費
800円 × 3,000㎡ = 2,400,000円
伐採・抜根費
1,000円 × 1,500㎡ =1,500,000円
宅地造成費の合計
2,400,000円 + 1,500,000円 =3,900,000円
1㎡当たりの宅地造成費
3,900,000円 ÷ 3,000㎡ = 1,300 円/㎡

4-2.平坦地の計算例2

市街地農地の面積200㎡で、道路より土地が1m低く、盛土をして3面擁壁した場合の宅地造成費を求めます。

計算例2)
市街地農地面積 :200㎡

整地費
800円 × 200㎡ = 160,000円
土盛費
7,400円 × 200㎡ = 1,480,000円
土止費
(20m + 10m+ 20m) × 1 × 77,900円 = 3,895,000円
 擁壁の長さ     擁壁の高さ

宅地造成費の合計
160,000円 + 1,480,000円 + 3,895,000円 = 5,535,000円
1m当たりの宅地造成費
5,535,000円 ÷ 200㎡ = 27,675 円/㎡

 

4-3.傾斜地の計算例

市街地農地の面積300㎡、傾斜度8度の傾斜地の宅地造成費を求めます。

計算例3)
市街地農地面積 : 300㎡(全面積について伐採・抜根を要するものとする)
傾斜度 : 8度

表2の傾斜地の宅地造成費より
傾斜度8度の宅地造成費は、24,700円/㎡

伐採・抜根費は、別途加算しますので、1㎡当たりの宅地造成費は
24,700 + 1,000 = 25,700 円/㎡
になります。

 

5.土地の相続税評価は専門家へ

土地の相続税評価は、正確に、かつ、できるだけ低く評価することは、土地評価の経験が少ないと難しいです。実際、市街地農地などの相続がある場合は、本記事を参考に概算を計算して、相続税申告の際は相続に詳しい税理士や司法書士やなどの専門家へご相談されることをオススメします。

6.まとめ

宅地比準方式で計算する際の宅地造成費についてご説明しました。宅地造成費は、平坦地の宅地造成費と傾斜地の宅地造成費の2つの種類があります。都道府県によって宅地造成費が異なるため、まず国税庁のウェブサイトから各地域の宅地造成費を確認し、計算してみることが大切です。
土地の相続税評価は実際には難しいものです。相続税の申告を行う際には、相続に詳しい税理士や司法書士などの専門家へご相談されることをおすすめします。

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