遺産分割協議書とは遺産分割した内容を示す書類、必要性と作成までの3ステップ

  • 相続手続き

ご家族が亡くなられて相続が発生すると、相続手続きが始まります。
銀行へ口座開設に行ったり、不動産の名義変更をしようとしたときに「遺産分割協議書はありますか?」と聞かれることがあります。
また「遺産分割協議書を作ったから署名してほしい」と、ご家族や親族の方から突然言われてなんのことだかわからい方もいらっしゃるしょう。

“遺産分割協議書”とはどういうもので、何のために作るのでしょうか?

その名から、遺産分割協議書が「亡くなられた方が遺された財産の分け方を話し合ってまとめたもの」だということは、何となくお分かりかと思いますが、なぜ必要でいつどのように作ったらよいかわからない方もいらっしゃるでしょう。

「遺産分割協議書とは何?」という相続を初めて経験する方に、本記事ではポイントを分かりやすく解説します。

1.遺産分割協議書とは同意の下に遺産分割した内容を示す書類

遺産分割協議とは、亡くなられた方の財産をどのように分けて引き継ぐのかを相続人全員で話し合いをすることです。この遺産分割協議の成立には全員が同意をする必要があります。そして、相続人全員が同意した内容を記したのが遺産分割協議書です。

遺産分割協議書を作成することは、財産を引き継いだ後になって「こんなはずではなかった」と相続人間でトラブルが起こらないようにするためだけではなく、不動産の名義変更(相続登記)で法務局、預貯金の解約手続きで金融機関へ提出するために必要になります。
書き方に特別な決まりはないので、相続人の方でも作成することはできます。遺産分割協議書があると、相続手続きをスムーズに進めることができます。

<遺産分割協議書が必要なケース>
①遺言書が無いまたは内容に不備がある場合
②相続人が複数いる場合
➂法定相続分と異なる割合で分割する場合

図1:遺産分割協議書とは同意のもとに遺産分割した内容を記すもの

2.遺産分割協議書の作成するまでの3ステップ

遺産分割協議書を作成するまでの3つのステップをご紹介します。
書き方に特別な決まりはないので、相続人の方でも作成することはできますので、ご自身で作成する場合の参考にして下さい。

2-1【ステップ1】相続人確定の為戸籍謄本を取得する

相続人を正式に確定させるには、初めに亡くなられた方の出生からご逝去までの繋がった戸籍謄本(除籍)を取得します。
亡くなられた方の最後の本籍地から順に遡っていくことで、法律上の相続人を正しく確定することができます。
戸籍謄本は近年個人情報保護法の観点から、請求できる方が限られています。相続人であっても法定相続人であることを証明するための戸籍謄本が必要です。

<除籍謄本を集める方法>
①ご自身が法定相続人であることを示す戸籍謄本を取得
②亡くなられた方の死亡の記載がある戸籍謄本(除籍謄本)を取得
➂②に出生からの情報が無ければ、遡って別の市町村で取得(郵送可)
④平成15年1月11日以前のものは改正原戸籍謄本・除籍謄本を取得

2-1【ステップ2】遺産内容を調査・把握

相続人が確定したら、次は相続財産の内容をすべて調査します。
まずは、亡くなられた方が大切なものを保管していた場所を確認したり、郵便物などを入念にチェックしていきます。
不動産は固定資産税納税通知書、預貯金は通帳、有価証券は取引明細書などで調べることができます。財産の詳細が明らかになったら「財産目録」として一覧にまとめておくと見やすく、遺産分割協議書を作成する際にとても役立ちます。

図2:相続財産調査の必要書類

2-3.【ステップ3】遺産分割協議が整ったら遺産分割協議書を作成

財産の全容が把握できたら、相続人全員が参加して遺産分割協議をおこないます。全員が同意したら遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、財産の分け方以外にも相続に関わる約束事などを記載することができます。 たとえば、今後の祭祀承継に関することや、負債や未払金の払い方などについて、後になって「そんなつもりはなかった」というトラブルが生じないよう、細かく記載を残しておくことが大切です。

図3:遺産分割協議後に遺産分割協議書を作成する

※遺産分割協議書の書き方について、詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)

3.相続税の申告期限までに作成する

遺産分割協議をいつ行い、遺産分割協議を作成する法的な期限はありません。しかし、相続税の申告が必要な方はその申告期限である10ヶ月以内に遺産分割協議書を作成する必要があります。
相続税の申告書には、遺産の分割内容を明確に示す書類を添付する必要があります。遺言書がない場合は、遺産分割協議書を添付します。また、相続税の税額控除の特例を利用するためには、申告期限内に遺産分割協議が整っていることが条件となり、申告書に遺産分割協議書を添付できなければ、特例を適用することはできません

図4:相続税の申告期限10ヶ月以内に作成する

4.まとめ

遺産分割協議書とは、相続人全員が参加して行った遺産分割協議により、全員が合意をした財産の引き継ぎ方を記した書類です。財産を引き継いだ後になって、「こんなはずではなかった」と相続人間でトラブルが起こらないようにするため、遺産分割協議が整ったらすぐに作成しておきましょう。

遺産分割協議書は、相続人間のトラブル防止だけではなく相続税申告や不動産の名義変更、預貯金の解約などの相続手続きの際に提出して、財産を取得する人を対外的に証明する書面となります。

書き方に決まりはなく、専門家でなくても作成することができますが、財産内容や分割の方法などは、漏れなく正確に記載することが求められます。遺産分割協議書の作成に不安がある方は、行政書士などの専門家に一度ご相談されることをおススメいたします。

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