お墓を生前購入すると相続税はいくら?節税になる理由を徹底解説
- 相続税
「お墓に相続税はかかるのだろうか」
「相続税を節税するためにはお墓をいつ購入したらいいの?」
終活の一環として生前にお墓を購入することを検討されている中で、生前と相続開始後、どちらが相続税対策になるのか気がかりかもしれません。
お墓は相続税がかからない財産なので、生前に購入すると節税効果が高くなります。
本記事では、お墓を生前に購入した方が良い理由を、具体的に相続税額のシミュレーションをしながらご説明いたします。生前にお墓を購入して相続税がかかるケースについてもご留意いただければと思います。
目次
1.お墓は相続税がかからない財産
相続できる財産には、亡くなられた方の預貯金や不動産などのプラスの財産と借金などのマイナスの財産が含まれます。お墓は祭祀財産とされ相続財産ではありません。祭祀継承者が単独で承継するものとされているため、遺産分割や相続税の課税対象になりません。
※非課税財産について詳しくはこちらをご覧ください。
2.生前にお墓を購入すると相続税対策になる
相続税は相続財産の総額が基礎控除額を超えるときにかかります。お墓は相続税を計算する際に相続財産に含めませんので、生前にお墓を現金預金で購入しておくと相続税の課税対象財産を減らすことができます。
図2:相続税は相続財産の総額が基礎控除額を超える部分にかかる
2-1.生前のお墓購入が節税になる理由
生前にお墓を購入すると節税になる理由は、お墓(非課税財産)を所有することにより課税対象となる財産(現金)が減るためです。
図3:お墓を生前に現金で購入すると相続税の課税対象財産を減らすことができる
2-2.相続税はいくらかかる?お墓購入のシミュレーション
お父さまが亡くなられて、相続人がお母さま(配偶者)、長男、長女の3人の場合で生前と相続開始後にお墓を購入するケースの相続税額についてシミュレーションしましょう。
法定相続人が3人の場合の基礎控除額は4,800万円(3,000万円+(600万円×3人))です。
①生前にお父さまがお墓(300万円)を現金で購入するケース
お父さまが生前にお墓を購入するケースでは、将来相続税が課税される現金を非課税財産のお墓に換えて引き継ぐことができます。正味の遺産総額4,700万円は、基礎控除額4,800万円を下回るため相続税はかかりません。
②相続開始後にお母さまがお墓を300万円で購入するケース
お母さまが相続開始後にお墓を購入するケースでは、正味の遺産総額5,000万円は基礎控除額4,800万円を上回りますので、差額の200万円に対して相続税(10万円)がかかります。
3.生前にお墓を購入しても相続税が課税されるケース
生前に相続税対策としてお墓を購入しても相続税が課税されるケースがありますので注意が必要です。
3-1.相続開始時にお墓のローン残債があると債務控除できない
お墓を購入する場合には、まとまったお金が必要になるケースが多いですよね。ローンを組んで購入する方もいらっしゃるでしょう。相続開始時にローンの残債がある場合はその残債は債務控除できないため、現金で一括購入することをおススメいたします。
3-2.常識的に見てあまりにも高額なお墓である
祭祀財産は日常礼拝を目的としたものです。そのため、骨董的価値がある墓石など、相場よりも著しく高額なお墓を購入した場合は、祭祀財産と認められずに相続税が課税される場合があります。
4.まとめ
お墓は相続税の非課税財産のため、生前にお墓を購入すると相続税の節税対策として効果的です。
ただし、相続開始時にお墓購入のローンが完済されていない場合は、その残債は債務控除できません。また、相続開始後にご家族がお墓を相続財産で購入しても、その代金は葬式費用に含めることができませんので相続税の債務控除ができないということに注意が必要です。
生前に購入するメリットは、相続税対策だけでなく、ご自身の希望するお墓を建てられることや遺されたご家族の負担を軽減できるということも挙げられます。
お墓を生前に購入することでどれくらい相続税額に影響があるのかを試算したい方や、節税対策のポイントを知りたい方は、相続を専門とする税理士にご相談されることをオススメいたします。