すぐわかる!ゴルフ会員権の相続税評価の計算方法と会員権の相場

  • 相続税

「そういえば、昔、ゴルフの会員権を買ったなんて、お父さんが喜んで話していたなぁ」

亡くなられたお父さまの財産を整理していると、ふとそんなことを思い出すことがあります。
バブル全盛期の頃は財産を増やすためにゴルフの会員権を購入して転売したり、ゴルフの会員権を持っていることがステータスだったゴルフ好きの方も多かったと思います。
しかし、現在は昔と違いゴルフ会員権の相場は大きく下落しています。

探せば見つかるものでタンスの奥から茶色く古びた昔のゴルフ会員権が出てきた、ということもあります。今、手元にある昔のゴルフ会員権は、どれくらいの価値があるのか、気になっていますよね。
また、ゴルフの会員権は購入した時の価格で考えるのであれば、相続の際に大変なことになりそうだ。と
取り扱いにご不安ではないでしょうか。

本記事では、ゴルフ会員権の相続税評価について、事例を交えて具体的にご説明します。

1.ゴルフ会員権の相続税評価には現在の取引相場を使う

ゴルフ会員権は、単にゴルフ場でゴルフをするだけのものと取引相場のあるものがあります。
プレーをするだけの会員権は相続財産にはなりません。

・プレーをする権利だけ付与されている会員権➡評価額ゼロ
・取引相場のあるゴルフ会員権➡現在の取引相場を使って評価

ゴルフ会員権の財産価値は昔に比べて低くなっていますが、立派な財産ですので、亡くなられた方が所有されていたゴルフ会員権が売却できるものかどうか確認し、取引額を相続財産として忘れずに確認して申告もれのないようにしましょう。

図1:ゴルフ会員権のイメージ

 

1-1.ゴルフ会員権の取引相場はインターネットで調べる

ゴルフ会員権の取引相場は、簡単にインターネットで調べることができます。また、取引業者へ確認したり、新聞のゴルフ会員権に関する広告を参考することもできます。
GoogleやYahooの検索窓に「ゴルフ会員権 相場」「ゴルフ会員権 相場 (地域)」「ゴルフ会員権 相場 (ゴルフ場名)」など、入力して検索すると相場が掲載されているサイトが見つかります。
「(地域)」については、関東・関西などのエリアでも東京・愛知・沖縄などの都道府県名でも可能です。

取引相場を検索しても結果が分からないゴルフ会員権場合には、株主でないと会員権を持てないものや、預託金制度を利用しているものになります。こちらの取り扱いは3章でご説明します。

図2:インターネットでゴルフ会員権の相場を調べる

ゴルフ場会員権の取引価格がわかるサイト一覧 
 ※「ゴルフ会員権 相場」で調べた上位

・明治ゴルフ
・住地ゴルフ
・日経ゴルフ
・椿ゴルフ
・ゴルフダイジェスト

1-2.取引相場の基準日は亡くなられた日

相続税の対象となるゴルフ会員権に取引相場があった場合、取引相場の基準は、ゴルフ会員権を持っていた方が亡くなられた日の取引価格となります。
亡くなられた日に取引がない場合は、最も近い取引日の取引価格を選択します。
ゴルフ会員権を購入した当時の価格ではありませんので、ご注意ください。

ゴルフ会員権の相続税評価額=ゴルフ会員権の所有者が亡くなられた日の取引価格

1-3.取引価格が複数あった場合は中値

上記で例に挙げたサイトをご確認いただくと、同じゴルフ場に対して「買値」「売値」が異なる金額が設定されている場合があります。この場合、相続税の評価額としては「買値」「売値」の中値が取引価格として取り扱われます。

また、サイトや取引業者によって取引相場が異なっていることがありますが、そのような場合には最も安い相場で取引をしているサイトの価格を利用することができます。
よって、取引相場を決める際には少なくとも2~3社の複数の価格を調べることをお勧めします。

1-4.直接ゴルフ場に確認することもできる

ゴルフ会員権は、全国のゴルフ場で一律の規約ではなくゴルフ場ごとに規約が異なります。よって、インターネットで調べたり、会員権に書かれている規約等を見ても分からないことや、気になることがあれば、直接ゴルフ場に確認することができます。

図3:ゴルフ会員権で不明なことは電話で確認

2.取引相場があるゴルフ会員権の相続税評価の3つの計算方法

取引相場があるゴルフ会員権の相続税評価額の計算方法はとても簡単です。
入会する時にゴルフ場に預け、退会するとき返還される預託金という制度があります。
この預託金の有無や返還する時期によって異なりますが、3つのケースしかありません。取引価格は売値と買値の平均値で計算します。

2-1.取引相場がある会員権は、取引価格の70%

取引相場があるゴルフ会員権は、取引価格の70%で評価します。
取引相場があるゴルフ会員権は次の3つの評価方法のいずれかに該当します。

(A)預託金がないケース
取引相場のある会員権は、亡くなられた日の取引価格の70%で評価します。

相続税評価額=亡くなられた日の取引価格 × 70%

(B)預託金がすぐ返還されるケース
預託金がある場合は、別途預託金を合計して評価します。預託金がすぐに返還される場合の考え方です。

相続税評価額 =亡くなられた日の取引価格 × 70% + 預託金

(C)預託金が一定期間後に返還されるケース
預託金がある場合は、別途預託金を合計して評価します。預託金がすぐに返還されない場合の考え方です。

相続税評価額 =亡くなられた日の取引価格 × 70% + 預託金 × その期間に預託金を運用したときに返還額になる金額(現在価値)

2-2.取引相場がある場合の計算例

取引相場があるゴルフ会員権の相続税評価額の一例をあげます。

【事例】
ゴルフ会員権の所有者:お父さま(亡くなられた)
ゴルフ会員権のゴルフ場:○○カントリークラブ
預託金:なし
売値:320万円
買値:280万円

お父さまが亡くなられた日の売値と買値の平均を確認すると、売値が320万円、買値が280万円であり、中値を計算すると300万円となります。
よって、ゴルフ会員権の相続税評価額は次のようになります。

300万×70%=210万円(ゴルフ会員権の相続税評価額)

3.取引相場がない場合の相続税評価の3つの考え方

取引相場がない場合の評価の方法は、
①株主のみがゴルフ会員になれる場合
②預託金を支払うとゴルフ会員になれる場合
③①②の両方を満たす場合
の3種類があります。

取引相場のないゴルフ会員権の評価は、複雑かつ、専門的な知識が必要になる場合があります。取引相場の内ゴルフ会員権の場合には、相続税の実務に詳しい税理士へご相談されることをおすすめします。

図4:取引相場の無いゴルフ会員権の種類

3-1.株主のみゴルフ会員になれる場合

株主のみがゴルフ会員権を保有できる場合には、株式と同じ方法で相続税評価額を計算します。
類似している上場株式の株価を参考にしたり、ゴルフ場の運営会社の純資産価格などを参考にしますがとても複雑です。

※株式の相続税評価について詳しくは、こちらを参考にしてください。

3-2.預託金を支払うとゴルフ会員になれる場合

預託金を支払うとゴルフ会員になれる場合は、返還される預託金の金額を評価します。
ただし、返還まで一定期間を過ぎてない場合は、その期間に預託金を運用したときに返還される金額(現在の価値)で評価します。

3-3.株主かつ預託金の支払いが必要なゴルフ会員の場合

株式と同じ方法で評価した金額と預託金の評価の金額の合計が評価額になります。

4.ゴルフ会員権を相続する際の注意点

近年は、ゴルフをする方も減少傾向にあるため、ゴルフ会員権を引き継いでも困ってしまう方もいらっしゃいます。
ゴルフ会員権を相続する際に注意しておきたいことを2つご説明します。

4-1.ゴルフ会員権には相続できないものがある

会員規約にゴルフ会員権の相続や譲渡を禁止しているものがあります。
この場合、ゴルフ会員権は所有者であるお父さまが亡くなられてことで資格喪失となります。よって、財産価値がゼロとなります。

4-2.ゴルフ会員権は1ゴルフ場に1人しか相続できない

ゴルフ会員権を相続する際に、ご自宅など他の相続財産と同様に共有持ち分にしようと考えられる場合があります。ゴルフ場の会員権を複数名でもてば、いざという時にそれぞれ使えるのでは、と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ゴルフ会員権はルール上、1ゴルフ場につき1人しか相続できません
そのため、亡くなられたお父さま以外は誰もゴルフをしないご家族であっても、誰かが相続をしてから名義変更等の手続きをすることになります。

図5:1つのゴルフ場の会員権に1人の相続人

4-3.会費が未払いの場合には支払いと債務控除をする

ゴルフ会員権を所有していると会費が発生します。お父さまがしばらくゴルフ会員権を使っていない場合など、会費の未払いとなっているケースもあります。その場合には、支払いと債務控除をしましょう。

5.さいごに

ゴルフ会員権は相続税の対象財産ですので、お父さまが亡くなられたあとにゴルフ会員権を見つけた場合には、必ず取引相場の有無や価値を調べましょう。

1ゴルフ場の取引価格はインターネットで簡単に調べることができます。取引業者や新聞の広告を参考にすることもでき、取引相場があるものについては2ご自身で価値を把握できます。

一方で、取引相場のないものは株主のみが会員になれる会員権やと預託金の支払いが必要など、いずれにしても価値を把握するには複雑な考え方が必要です。こちらの場合は相続に強い税理士への相談が不可欠です。

ゴルフ会員権は、昔に比べて財産価値が低くなっているものが多いですが、大切な財産の一つです。
相続税の申告漏れがないようにご注意ください

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