埋葬料は健康保険加入者が亡くなられたときの給付金!申請方法と期限
- 相続手続き
「夫が病気で急逝してしまった…。埋葬料が請求できるみたいだけど、手続きはどうしたらよいのかしら。」
働き盛りのだんな様が突然亡くなられてしまった悲しみの中、お葬式をつつがなく終え、相続の手続きを始められたばかりかもしれませんね…。会社の人事担当者の方から、「埋葬料」の説明を受けた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
亡くなられた方がお勤めしていて、健康保険組合(協会けんぽ等)や共済組合に加入されていた場合、「埋葬料」の支給を受けることができます。
本記事では、埋葬料の申請手順や必要書類について、詳しくご説明いたします。埋葬料は請求をしないと支給されませんので、期限にも注意が必要です。
また、被保険者の「資格を喪失後でも給付が受けられるケース」についても記載していますので、参考にしていただければと思います。
目次
1.健康保険加入者が亡くなられたとき「埋葬料」が支給される
埋葬料とは、会社員の方など健康保険の加入者(被保険者)が業務外の事由による病気やケガなどで亡くなられた場合に、葬儀をおこなうご家族が請求することにより受け取れる給付金です。葬儀費用の一部を補助するための給付となります。
扶養されているご家族が亡くなられた場合には「家族埋葬料」が保険加入者本人に支給されます。
国民健康保険(会社員や公務員以外の一般の国民を対象とした社会保険)の加入者が亡くなられた場合には「葬祭費」が支給されます。
業務上あるいは通勤途中の事故などが原因で亡くなられた場合は、労災保険の「葬祭料」が支給されます。
表1:埋葬料・葬祭費・葬祭料の違い
※葬祭費について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)
※葬祭料について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)
2.埋葬料の支給対象者と支給額
埋葬料は、健康保険加入者に生計の全部、または一部を維持されていた方で埋葬をおこなう方に支給されます。別居しているご家族でも支給の対象となります。夫婦共働きで夫、妻がそれぞれの健康保険に加入していた場合(被扶養者でない場合)でも、埋葬料は支給されます。
一方、生計維持関係が全くない方は、たとえ親族であっても埋葬料は支給されません。
2-1.埋葬料
埋葬料の支給対象者はご家族となるケースが一般的ですが、血縁者以外でも請求することができます。また、健康保険加入者が亡くなられた事実が確認できれば、葬儀をするしないに関わらず支給されます。
支給額は一律5万円ですが、加入されていた健康保険組合により、独自の付加給付が上乗せされる場合があります。
表2:埋葬料の支給対象者と支給額
図1:埋葬料は健康保険加入者に生計を維持されていた方に支給
2-2.埋葬費
健康保険の加入者が亡くなられた場合で、埋葬料を受け取る方がいらっしゃらない場合に、実際に埋葬をおこなった方に「埋葬費」が支給されます。埋葬費は埋葬をおこなった事実確認が必要となりますので、埋葬をおこなった後でなければ請求することはできません。
支給額は「埋葬料5万円の範囲内の埋葬にかかった実費」です。具体的には、霊柩車代、火葬代、僧侶へのお礼代などです。健康保険組合により、独自の付加給付が上乗せされる場合があります。
表3:埋葬費の支給対象者と支給額
図2:埋葬費は5万円以内の埋葬にかかった実費
3.埋葬料の申請手続き
埋葬料の申請書類は、加入されていた健康保険組合(あるいは社会保険事務所)の窓口に直接持参、または郵送で提出します。申請書を提出してから不備がなければ、2~3週間で指定された口座に振り込まれます。勤務先で手続きをおこなってもらえる場合がありますので、まずは勤務先の人事担当者の方に問い合わせてみましょう。
申請の手順、必要書類についてご説明します。
3-1.健康保険組合に「埋葬料支給申請書」を提出
健康保険組合に「埋葬料支給申請書」を提出します。書式は健康保険組合ごとに異なります。亡くなられた方のお名前、健康保険証の記号番号、住所、亡くなられた日付・原因、申請者の方のお名前、振込先金融機関の情報などを記載します。
図3:埋葬料支給申請書の見本
3-2.必要添付書類
埋葬料支給申請書に添付する書類は、健康保険組合により若干異なりますので加入先に必ず問合せましょう。
協会けんぽの場合、「事業主の証明」が必ず必要です。事業主の証明が受けられない場合は、亡くなられたことを確認できる書類(※①)として埋葬許可証、火葬許可証、死亡診断書のコピー、亡くなられた方の戸籍謄本(除籍謄本)、住民票の除票など、いずれか1つを用意します。
表4:埋葬料の申請に必要な添付書類
3-3.申請期限は2年
健康保険の給付を受ける権利は、2年を経過すると時効により消滅します。埋葬料の申請期限も、「亡くなられた日の翌日から2年」です。健康保険証を返却するときに申請をおこなうとよいでしょう。
表5:埋葬料を請求する権利は2年で時効
※遺産相続で確認すべき期限について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)
4.資格喪失後に埋葬料が支給される3つのケース
会社を退職して健康保険の被保険者の資格を喪失した後に亡くなられた場合であっても、以下の要件を満たせば、埋葬料または埋葬費が支給されます。
【資格喪失後に埋葬料が支給される3つのケース】
①被保険者が資格喪失後、3ヶ月以内に亡くなられたとき
②被保険者が傷病手当金または出産手当金の資格喪失後の継続給付を受けている期間に亡くなられたとき
③被保険者が傷病手当金または出産手当金の資格喪失後の継続給付を受けなくなった日後、3ヶ月以内に亡くなられたとき
上記の要件を満たしていても、資格喪失後に新たに加入している健康保険や国民健康保険等へ埋葬料もしくは葬祭費を請求する場合は、重複して請求することはできません。
5.埋葬料は相続税の課税対象にはならない
埋葬料は相続税の課税対象ではありません。埋葬料は相続財産ではなく、保険給付として相続人が受け取るべきものと考えられているからです。相続放棄をする場合でも受け取ることができます。
※相続放棄について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)
6.まとめ
埋葬料は、健康保険に加入されていた方が、業務外の事由により亡くなられた場合に、その方に生計を維持されていた方の請求により支給される給付金(一律5万円)です。
埋葬料を受け取る方がいない場合は、埋葬料の範囲内で実際に埋葬をおこなった方に「埋葬費」が、扶養されていたご家族が亡くなられた場合の埋葬に対して、健康保険加入者(被保険者)に「家族埋葬料」が支給されます。
埋葬料は申請することにより支給される給付金です。亡くなられてから2年という期限がありますので、加入されていた健康保険組合に必要書類などご確認の上、すみやかに手続きされることをお勧め致します。