3分でわかる!公正証書遺言の費用の内訳と専門家へ依頼する時の費用
- 遺言
「公正証書遺言の作成に、費用はいくらかかるのだろうか?」
「司法書士など専門家にお願いすると高いのかな・・・」
公正証書遺言で、確実に遺言書を残したいとお考えでしょう。遺言作成の費用がどれくらいかかるのかご心配ですよね。専門家へ依頼する場合の費用の相場についても関心をお持ちではないでしょうか。
本記事では、公正証書遺言の費用の内訳と司法書士や弁護士、行政書士等の専門家へ依頼する費用についてご説明いたします。
大切なご家族のために公正証書遺言を作成する参考にしていただければと思います。
目次
1.公正証書遺言の費用は相続財産額と相続人の数で決まる
公正証書遺言とは、公証役場に証人2人とともに訪問し、証人立会いのもと公証人が作成する遺言書です。原本は公証役場に保管されるため、偽造変造のおそれがなく法的な不備により無効になる心配もありません。
公正証書遺言を作成する費用は、相続財産の金額や相続人の人数によって変わります。ご自身で手続きを進める場合は10万~15万位が一般的です。司法書士や弁護士、行政書士などの専門家に依頼した場合は、更に追加で費用がかかります。
※公正証書遺言について詳しくはこちらをご覧ください。(当サイト内)
2.公正証書遺言を作成する際にかかる3つの費用
公正証書遺言の作成にかかる費用は、公正証書作成の手数料、住民票などの必要書類の取得費用、その他追加費用の3つです。これら3つの費用の合計額が、ご自身で公正証書遺言の作成手続きを行う場合の費用になります。(専門家へ依頼する費用は3章参照)
【公正証書遺言作成にかかる費用=①+②+③】
①公正証書作成手数料
②必要書類の取得にかかる費用
③追加費用(証人・公証人の出張費・遺言書の交付手数料)
2-1.公証役場に支払う手数料
公正役場に支払う公正証書作成手数料は、相続財産の金額によって異なります。手数料は財産を引き継ぐ相続人ごとに計算し、合算します。相続財産の総額が1億円未満の場合は11,000円の遺言加算があります。また、公正証書の原本が4頁を超える場合は1頁につき250円の枚数加算があります。
表1:公正証書遺言の作成費用一覧
遺言書に記載する財産の価額 |
手数料 |
100万円以下 |
5,000円 |
100万円を超え200万円以下 |
7,000円 |
200万円を超え500万円以下 |
11,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 |
17,000円 |
1,000万円を超え3,000万円以下 |
23,000円 |
3,000万円を超え5,000万円以下 |
29,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 |
43,000円 |
1億円を超え3億円以下 |
4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 |
9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額 |
10億円を超える場合 |
24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額 |
【作成手数料の計算例】
ご自身の財産が8,000万円で、奥さまへ4,000万、2人の子どもにそれぞれ2,000万ずつ相続させる場合の手数料を計算します。
財産の額 |
公正証書作成手数料 |
|
ご自身の財産 |
8,000万 |
|
奥さまの相続額 |
4,000万 |
29,000円 |
長男の相続額 |
2,000万 |
23,000円 |
長女の相続額 |
2,000万 |
23,000円 |
29,000円(奥さま分)+23,000円(長男分)+ 23,000円(長女分)+11,000円(1億円未満の為加算) =86,000円
よって、公正証書遺言の作成手数料は、86,000円になります。
2-2.必要書類の取得費用
公正証書遺言を作成する際の必要書類を取得するためにかかる費用は下記の通りです。
必要書類 |
費用 |
取得場所 |
備考 |
住民票 |
300円前後 |
市区町村役場 |
相続人以外の受遺者もしくは遺言執行者がいる場合のみ必要 |
印鑑証明書 |
300~400円 |
市区町村役場 |
作成後3ヶ月以内のもの |
戸籍謄本 |
450円 |
市区町村役場 |
|
除籍謄本・原戸籍謄本 |
750円 |
市区町村役場 |
|
登記事項証明書 |
600円(窓口) |
法務局 |
|
固定資産税課税明細書 |
0円 |
毎年4月頃送付される固定資産税納税通知書に添付されている |
最新のもの |
※固定資産評価証明書は市区町村役場で、300~400円程度の手数料で取得できます。
2-3.追加でかかる費用
追加でかかる費用は、①証人の費用②公証人の出張費③遺言書の交付手数料です。
①証人の費用
公正証書遺言を作成する際の証人を公証役場で紹介してもらう際にかかります。証人は2人必要で、ひとりにつき10,000円前後かかります。ご自身で証人をお願いする場合は費用はかかりません。
②公証人の出張費
遺言者が入院中あるいは歩行困難という理由で公証役場へ訪問できない場合は、公証人に出張を依頼することができます(同一県内に限る)。出張費は作成手数料の半額分が病床執務加算として加算されます。また公証人の日当として1~2万円、往復の交通費が実費として請求されます。公証役場で作成する手数料の約1.5倍の費用がかかります。
③遺言書の交付手数料
公正証書は原本、正本、謄本の3種類が作成されます。原本は公証役場に保管され、正本(原本の写し)と、謄本1部が交付されます。交付手数料は正本及び謄本1頁につき250円です。謄本を希望する相続人等が多い場合、交付部数だけ費用がかかります。
3.専門家に遺言作成を依頼する費用
ご自身で手続きを行うのに不安のある方や時間のない方は、司法書士や弁護士、行政書士等の専門家へ依頼することができます。
専門家と一緒に遺言書を作成する場合には、相談内容によって異なりますが、おおよそ30万円~を想定しておきましょう。財産が高額の場合には100万円を超えることもあります。
費用 |
専門分野 |
|
司法書士 |
5~10万円 |
不動産関係 |
弁護士 |
20~100万円 |
遺言内容相談 |
行政書士 |
5~10万円 |
書類作成 |
3-1.司法書士
司法書士の遺言作成費用は5~10万円位かかります。司法書士は登記が専門ですので、相続財産に不動産がある場合は、司法書士に依頼されることをオススメします。
3-2.弁護士
弁護士の遺言作成費用は20万~100万円(財産が高額な場合)を超えることもあります。弁護士事務所では、過去に定められた旧弁護士会報酬規程を目安に費用を決めています。遺言内容を相談したい場合や相続トラブルを回避したい場合にオススメです。
3-3.行政書士
行政書士の遺言作成費用は、5万~10万円位が相場です。行政書士は書類作成の専門家なので、遺言書の作成サポートが本来の業務です。相続税や相続争いに不安のない人は、行政書士へ依頼しましょう。
4.専門家に遺言作成を依頼するメリット
公正証書遺言の文面は公証人が作成しますが、遺言の内容を相談することはできません。専門家へ依頼するメリットは細かく遺言内容を相談できたり、相続トラブルの対策を講じられたり、面倒な書類収集や、公証人との折衝を代行してもらえる点です。
事務所によっては証人の用意や、遺言書の保管、遺言執行、履行補助などのサービスを行うところもあります。各専門家ごとに得意分野はありますが、いずれにしても遺言公正証書の作成経験が豊富な相続専門の士業事務所に依頼するとよいでしょう。遺言執行者をお願いすることもできます。
5.まとめ
公正証書遺言は、公証人が作成するので不備がなく、偽造・紛失のリスクがない遺言書です。遺言作成する費用は、相続財産の金額や相続人の人数で決まります。ご自身で手続きを進める場合の費用は10万~15万位が相場です。
専門家へ依頼する際は、別途費用がかかります。司法書士・行政書士は5万~10万円、弁護士は20万~100万円位かかります。司法書士は不動産関係、弁護士は相続トラブルになりそうな時、行政書士は書類作成の専門家ですので、ご状況にあわせて選びましょう。
遺言はご自身が残す最後の大事なメッセージです。費用はかかりますが、公正証書遺言を作成されることをおススメいたします。