【被相続人居住用家屋等確認書とは】申請時の必要書類と取得方法
- 相続手続き
「被相続人居住用家屋等確認書とはどんな書類かしら…。」
「被相続人居住用家屋等確認書はどうやって取得するのかな。」
相続して空き家になっていた実家を売却して「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」の適用を受けようとしたら、被相続人居住用家屋等確認書の添付が必要と言われ、どのような書類か知りたいとお考えのことでしょう。
「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」は、相続または遺贈によって引き継いだ相続人が、亡くなられた方のご自宅やその敷地等を売却した場合に、譲渡所得(売却して得た利益)の金額から、最高3,000万円までを控除することができるという特例です。
特別控除の特例の適用を受ける方は、確定申告が必要で、「被相続人居住用家屋等確認書」は申告の際に必要な書類のひとつです。
本記事では、この「被相続人居住用家屋等確認書」に的を絞り、取得方法について具体的に説明していきます。
目次
1.「被相続人居住用家屋等確認書」とは
被相続人居住用家屋等確認書は、「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」の特例を受けるために必要な書類です。
「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」とは、相続した空き家を売却した場合には、譲渡所得(売却益)の金額から3,000万円を特別控除するというものです。この特例の適用を受けるためには、売却した翌年に確定申告を行います。
被相続人居住用家屋等確認書は、確定申告をするときの必要書類の1つです。相続した家が「相続したときから売却するまでずっと空き家だったこと」を所在地の市町村役場が確認する書面です。
図1:相続不動産の売却から確定申告をする流れ
※空き家の特例について詳しくは、こちらを参考にしてください。(当サイト内)
2.被相続人居住用家屋等確認書を取得する3つのステップ
被相続人居住用家屋等確認書は、国土交通省のホームページにて申請書をダウンロードして記入のうえ、必要書類を添付して、市町村の窓口に直接持参あるいは郵送にて提出します。提出方法については市町村役場にお問い合わせください。
申請書は、不動産の状況に応じて、以下の2種類の様式があります。申請書は4枚綴りですが、記入する箇所は1枚目の枠内のみとなります。
①被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋及びその敷地等の譲渡の場合
(家屋または家屋+敷地を売却)
②被相続人居住用家屋の取壊し、除却又は滅失後の敷地等の譲渡の場合
(家屋を取り壊して更地を売却)
参考:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」証明書の様式等
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
図2:被相続人居住用家屋等確認書を取得する3つのステップ
図3:被相続人居住用家屋等確認申請書・確認書
3.被相続人居住用家屋等申請書に添付する必要書類
被相続人居住用家屋等確認書の申請をおこなうときの必要書類をご説明していきます。
家屋をそのまま売却したのか、家屋を取り壊して売却したのかによって必要書類が異なります。また、亡くなられた方が老人ホームに入所していた場合は、追加の書類が必要になりますので併せてご説明いたします。
なお、ほとんどの市区町村役場では、提出書類の返却はおこないません。
3-1.家屋または家屋および敷地を売却した場合
「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」を適用するための要件として、「家屋が耐震基準を満たしている」必要があります。家屋だけ、もしくは家屋と敷地を売却した場合の必要書類は次の通りです。
表1:家屋または家屋+敷地を売却した場合の必要書類
必要書類 | 取得場所 | ||
---|---|---|---|
被相続人居住用家屋等確認申請書 | 国土交通省ホームページ、または、管轄の市区町村役場ホームページよりダウンロード | ||
亡くなられた方の「除票住民票の写し」原本 | 亡くなられた方の住民票があった市区町村役場 | ||
※1 相続人の「住民票の写し」原本 |
市区町村役場 | ||
家屋または敷地等の売買契約書の写し等 | |||
いずれか |
※2 電気、ガスの閉栓証明書 水道の使用廃止届出書の控え等 |
使用していた電気、ガス会社、役場の水道局 | |
※3 売却チラシ |
不動産会社 |
※1:相続開始の直前から売却のときまでの住所が分かるもの、2回以上引っ越した場合は住民票ではなく
「戸籍の附表の写し」の原本が必要
※2:電気、ガス、水道の使用を中止した日が確認できる書類
※3:空き家状態であったことを表示して広告しているもの
3-2.家屋を取り壊して更地を売却した場合
家屋が耐震基準を満たしていない場合、「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」を適用するためには、基準を満たすようリフォームをするか、更地にして売却するという2つの選択肢があります。家屋を取り壊して更地にして売却した場合の必要書類は以下の通りです。
表2:家屋を取り壊して更地を売却した場合の必要書類
必要書類 | 取得場所 | ||
---|---|---|---|
被相続人居住用家屋等確認申請書 | 国土交通省ホームページ、または、管轄の市区町村役場ホームページよりダウンロード | ||
亡くなられた方の「除票住民票の写し」原本 | 亡くなられた方の住民票があった市区町村役場 | ||
相続人の「住民票の写し」原本 | 市区町村役場 | ||
敷地の売買契約書の写し等 | |||
当該空き家の閉鎖事項証明書 | 法務局 | ||
いずれか |
電気、ガスの閉栓証明書 水道の使用廃止届出書の控え等 |
使用していた電気、ガス会社、役場の水道局 | |
売却チラシ | 不動産会社 | ||
空き家の取り壊しから売却までの敷地の使用状況が分かる写真 |
3-3.亡くなられた方が老人ホームに入所していた場合
2019年4月以降の売却においては、亡くなられた方が老人ホームに入所していた場合に、「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」が適用できるようになりました。表1または表2の書類に加えて、以下表3の書類が必要になります。
表3:亡くなられた方が老人ホームに入所していた場合の必要書類
必要書類 | 取得場所 | ||
---|---|---|---|
亡くなられた方の介護保険証の写し、または障害福祉サービス受給者証の写し | |||
いずれか |
入居した老人ホームの入所時の契約書の写し | ||
※4 亡くなられた方の「戸籍の附表の写し」の原本 |
亡くなられた方の最後の本籍地の市町村役場 | ||
電気、ガスの閉栓証明書、 水道の使用廃止届出書の控え等 |
使用していた電気、ガス会社、役場の水道局 |
※4:老人ホームを移転していた場合のみ必要、2回以上移転した場合は契約書ではなく、「戸籍の附表の写し」を用意する
4.まとめ
被相続人居住用家屋等確認書は、「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」の適用を受けるために必要な書類です。相続した空き家の所在地の市町村役場で交付してもらいます。
被相続人居住用家屋等確認書の申請書は相続した家屋または家屋と敷地をそのまま売却したのか、取り壊して敷地を売却したのかで必要書類が異なります。
特別控除を受けるためには様々な要件がありますが、適用できると大きな節税につながります。「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」が適用できるかの判断が難しい場合や、確定申告の手続きをスムーズに行いたい方は、相続に強い税理士にご相談されることをおススメ致します。