贈与税の未申告がばれる?堂々と無税で贈与する4つの手法【保存版】
- 贈与税
日ごろご両親からお小遣いをもらったり、正月には親戚からお年玉をもらったりしても贈与税なんて払ったことがないですよね。そもそも、もらったこと自体を税務署は知らないはず。
ということは、100万円でも、1,000万円でも親からもらって、もらったことを内緒にしておけば、税務署にはバレないし、安泰では?!
ふと、魔がさしてそんなことを考える時がありますよね。
でも、税務署はしっかりそのお金を渡したタイミングを遡ってチェックをするタイミングを持っています。すぐにばれませんが、相続や不動産登記時にばれてしまいペナルティ付で贈与税を支払うことになります。
正しい贈与の方法を身につけると、非課税の枠を活用して税金をゼロにして贈与を受けることができます。正しいルールで、最大限に贈与税の支払いを抑えましょう!
目次
1.贈与税の申告をしないと、結果的にばれます!
今この場で親から300万円もらっても、内緒にしていたら贈与税の無申告が税務署にばれることはないですよね?税務署は常に皆さんのお金の動きをチェックしている訳ではありませんが、贈与を知るタイミングは2つあります。
①相続
②不動産登記
1-1.税務署が贈与を知るタイミング① 「相続」
相続税が発生すると税務署から税務調査にくるケースが多いです。
その際に、相続した資産(お金・不動産など)や亡くなられた方と相続した方の銀行口座のお金の流れなどに不審な点が無いかチェックされます。銀行口座は、過去に遡って10年程度の履歴を調査することもあります。税務調査が入ると全ての相続・贈与でヌケモレが無いかチェックされ、ばれてしまいます。
※税務調査については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
1-2.税務署が贈与を知るタイミング② 「不動産登記」
不動産を贈与された場合には所有権移転登記の手続きが必要です。登記をすると法務局から税務署に報告されるため、税務署は情報を得ることになります。
受贈者には「お尋ね」の文書が届き、①住宅の購入時期や価格、②職業や年収、③購入資金をどうやって準備したかなどを尋ねられます。この内容に疑問点があると直接税務署員がくるため、嘘はつけません。この流れでばれてしまいます。
※相続した土地の名義変更(相続登記)については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
2.ばれない!?と思って申告しないことの落とし穴
贈与税は結局のところばれてしまうことがお分かりいただけたと思いますが、「それでもやっぱり隠しとおせるのではないか」「誰かが税務署に通報するなんて考えづらいし、家族ならもっと通報の可能性は低い!」「贈与してくれた人が元気なら時効まで内緒にしておくことも大丈夫そう!」と思われている方も多いでしょう。この考え方は、ばれたときにとても大変な思いをしますので、正しい対応をしましょう。
2-1.ばれたら困る。大きなペナルティ税
贈与税の申告を申告期限を過ぎても行わなかった場合は無申告加算税が、課税を免れようとして意図的に申告しなかった場合は重加算税が課されます(10%~40%)。加算税のほか、贈与税の納付が遅れることによるペナルティとして延滞税(最大年14.6%)が課されます。
贈与税は税率が非常に高い(1,000万円超で一般税率40%)ので、非課税の枠を効果的に活用して最大限に抑えるべきです。税務署から指摘をされてしまうと、あとから非課税枠が利用できませんので、正しいルールで進めましょう。
※贈与税の申告が遅れた場合について詳しくは、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
2-2.贈与税の時効がきても、相続の対象と言われて税金を取られないように
贈与税の時効は6年間ですが、悪質な場合は7年になります。
7年なら何とかなると思う方も多いと思いますが、相続の際に遡ってチェックされ、「このお金は何ですか?」と指摘された際に、堂々と「時効を迎えた贈与です」は説明ができません。結局、相続の一部として扱われ思わぬ税金が発生する可能性があります。
※贈与税の時効について詳しくは、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
3.堂々と無税で贈与する4つの方法
贈与税の申告は、しっかりした方が良いと感じてきましたか。贈与税というと、贈与をしたら必ず高額な贈与税を取られると思う方もいると思いますが、税金のかからない非課税枠を活用できます。
正しい手続きを踏んで、支払う贈与税を最大限に抑えましょう。
3-1.生活に必要なお金は贈与にならない
本来は配偶者間、家族間であっても贈与税は発生します。
しかし、生活費や教育費、高齢のご両親の面倒をみる費用、お孫さんへのお小遣いなど、社会通念上妥当と認められるものについては、贈与税は掛かりません。注意すべきは一括で贈与を受けると贈与税の対象となるため、毎月必要に応じて贈与を受ける必要がある点です。
例)大学4年間の仕送り
○ 毎月10万円を4年間渡す(計480万円)
× 入学時に480万円まとめて渡す
3-2.贈与税の非課税枠110万円を活用して暦年贈与を行う
贈与税は、贈与を受ける人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。この年間110万円の非課税枠を活用し、贈与税がかからない方法で毎年コツコツと贈与することを暦年贈与といいます。暦年贈与は贈与税の申告も不要です。
ただし暦年贈与が認められないケースとして、次の3つがありますので気をつけましょう。
①もらう側の枠が110万円になりますので、2人から110万円ずつもらうと贈与税がかかる。
②贈与を受けた預金管理は、必ず受け取った本人がおこなう。渡す側が管理している場合には、「名義預金」として対象とならないケースもある。
③毎年同時期に同額贈与すると、あらかじめ贈与する額が決まっていたとみなされ、一括贈与と判断されることもあるため、その都度時期や金額の工夫が必要。
※110万円までの非課税枠(暦年贈与)については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
3-3.住宅取得資金・教育資金・結婚・子育て資金等には非課税枠がある
年間110万円以上の贈与があった場合には贈与税を支払うことが一般的ですが、特定の目的における贈与の場合は所定の手続きをすることで、大きな非課税枠を得ることができます。
贈与税の特例として、目的別の非課税枠があります。しっかり申告して活用しましょう。
※住宅取得資金の贈与については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
※教育資金の一括贈与については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
※贈与税の配偶者控除については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
3-4.相続時精算課税制度を利用する
生前に贈与した内容を相続時に一度に精算する「相続時精算課税」という制度があります。
この制度を活用すると非課税枠は一人2,500万円、超過した分は20%の税金となります。令和6年1月1日以降の贈与から相続時精算課税の特別控除額2,500万円とは別に、基礎控除110万円が創設されました。いろいろな非課税枠の活用方法があるものの、小額贈与であったり、目的が決まっていたりしますので、非課税枠の目的外かつ生前にお金が必要なときに贈与する場合には、この方法が有効です。
※相続時精算課税制度については、次の記事を参考にしてください(当サイト内)
4.もし、すでに贈与を受けていたらどうすべきか。
すでに贈与を受けてしまって無申告の場合、どうしたらよいのでしょうか。制度をフル活用して何かできることが無いかチェックしましょう。
4-1.贈与税の非課税対象かどうかチェックしよう
生活費などの一部として考えて良い範囲の贈与か、または年間110万円までの贈与だったか。この点を最初にチェックしましょう。該当しない場合は、4-2、4-3を確認してみましょう。
4-2.未使用分を一旦返却し、非課税枠を活用して再度贈与を受けよう
使用済みのものは正しく税金を支払いましょう。
ただ、未使用分は贈与された方に一度返却をして、正しいルールにそって再度贈与をしていただくことが得策です。特に非課税の枠が利用できない場合は、4-3を確認して税務署にばれる前に早めに申告・納税をしましょう。
4-3.使用した分は早く申告して、ペナルティを減らそう
先に説明をしたとおり、贈与の無申告がばれると延滞税(最大年14.6%)と加算税(10%~40%)のペナルティが発生します。
しかし、遅れてでも自主的に申告をすれば加算税が少なくて済みます。加算税が軽くなるのは、大きなメリットです。また、延滞税は、申告期限(法定納期限)の翌日から贈与税を払った日までの期間に課されます。一日でも早い申告が、税金を抑えることになります。
5.まとめ
贈与は「ばれない」と日ごろの生活から誰もが感じるところだと思います。そして魔がさしやすいところでもあると思います。
しかし、税務署はしっかりとチェックをする仕組みを持っていますし、見つかった際には高額な税金の支払いが待っています。
贈与の非課税枠を活用して、最大限に贈与税を抑える考え方は意外に知られていません。
正しい知識で、しっかり対応すれば、安心して贈与ができます。
もし、贈与で不安なことがあるようでしたら、相続・贈与の対応件数が多い税理士に相談してみましょう。
※贈与税/相続税の申告が必要で「損」をしないための税理士の選び方は、こちらを参考にしてください。(当サイト内)